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2008年7月15日火曜日

バンコクでカリフォルニアワインディナー(その2)



フォーシーズンでのワインイベント
パルメイヤーのワインの初登場ということで大手の新聞社やシンガポールの大使など、80人以上の参加で大成功。私にとってもパルメイヤーのシャルドネ、ピノ・ノワール、レッドを、一度に飲めるまたとない機会。
2005 Jason Chardonnay, Napa Valley
2005年は比較的涼しい年だったせいもあるのだろう、豊満なフルーツというより、ミネラル分が多く感じられる辛口のシャルドネだった。
マリネしたホタテに千切りの青リンゴとシャーベット添えとよくマッチ。シャルドネにアクセントとして感じられる青リンゴの味とあわせて、リンゴを添えてあるところにシェフのワインセンスが伺われた。
2005 Pahlmeyer Chardonnay, Napa Valley
コクがあって、バタリーでミネラルが感じられるフィニッシュが長い辛口。ひところのフルーツ味たっぷり、オークもたっぷり、ボーディもたっぷりという、豊満なタイプのシャルドネに比べると、少しトーンダウンされて、エレガントさも感じられた。
魚介類のバニラをアクセントにしたブイヨン。オークから出るバニラ風味と合わせていた。
2005 Jason Pinot Noir, Sonoma County
硬い印象のピノ・ノワールだったけれど、空気に触れて程よく熟したチェリーキャンディの味(甘くない)となめし皮といった、ピノ・ノワールの特色があらわれてきた。まだ酸味が多少シャープ。このワインにブリーザブルグラスを使うといいと思ったけれど、別のイベントなので使っていなかった。
ダックのコンフィ、フォアグラとぴったり。
2004 Pahlmeyer Merlot, Napa Valley
ブラックチェリー、深み、カシス、スパイス。本格派のメルロー。
子牛の胸腺、ビッターチョコレートが隠し味に使われている。文句なしにぴったし。
2004 Pahlmeyer Proprietary Red, Napa Valley
インク、カシス、スパイス、構成の良いワイン。まだまだ若くて飲むのが痛々しいほど。でも美味しい。チーズと一緒だと、うーん、いける!

今夜の料理を担当したのはフォーシーズンの料理プログラムのトレーニングを受けたタイ人の女性シェフ。フランス料理の基本にしなやかな味付けをした素敵な料理だった。
タイのサービスマナーは、優雅でいて優しくて、独特だ。

バンコクでカリフォルニアワインディナー(その1)



タイのバンコクに来ている。気温と湿度がすごく高い。タイの季節は、ホット、ホッター(暑い、すごく暑い)があるのだと、笑いながら地元の知人が教えてくれた。今はそのホッターの季節なんだそうだ。
外へ出るとメガネが曇るくらいに暑いのに、レストランやホテルはエアコンががんがんに効いていて、寒くて震えてきた。喉がひりひりして風邪をひきそう。
バンコクで2つのワインイベントに出席。
Harvey というレストランとフォーシーズンでカリフォルニアワインディナーが開催された。
弟1日目:Harveyはアメリカン料理を出すレストランで、若いアメリカ人のシェフがカリフォルニアワインとマッチするカリフォルニア料理を作ってくれた。70人ほどのお客さんが参加して、熱心にそしてリラックスして相棒の話に耳を傾けてくれた。
メニューはツナのたたきにわさび入りのアボカド、イセエビのグリル、さっと焼いたフォアグラ、ラム。タイのスパイスをうまく使って、なかなかのものだった。
アペリティフはクオディのelectra(エレクトラ)というデザートワインを炭酸水で割って、細かく切ったイチゴを入れてあった。なかなかのいいアイデア。イチゴの代わりにラズベリーでもいいかな。暑い夏の日の夕方のアペリティフにぴったり。
ツナのたたきにPine Ridgeの2007年白ワイン(シェナン・ブランとヴィオニエのブレンド)この白ワインは値段も手ごろで、とっても飲みやすい。
イセエビのグリルに 2006年Alexander Valley Estateのシャルドネ。
フォアグラと 2005年Shaferのメルロー。この組み合わせは絶対に外れがないよね。
ラムには 2005年Pine Ridge Rutherfordのカベルネ・ソーヴィニヨンと2003年 Laurel Glenのカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパの低地、ルサフォードの華やかなカベルネとマウンテン・グレープである締まった抑制の効いたカベルネの対象が面白かった。どちらもラムによくマッチ。
デザートは クオディのEssensia(エッセインシア)とネーミングされたオレンジマスキャット。シンプルだけど甘さも程よく楽しいデザートワイン。
この夜のワインは全てEisch(アイシェ)という会社のブリーザブルグラス(空気が通過するグラス)で出されていた。我が家でもこのグラスをよく使う。まず普通のグラスで飲んでみて、もう少しワインを空気に触れさせてソフトになった状態で飲んでみたいときにブリーザブルグラス使う。そして二つのグラスを並べて、味を比べてみる。ワインによっては、ブリーザブルグラスでないほうが美味しいときもあるからだ。
2つの白ワインはブリーザブルグラスでないほうが、フレッシュなフルーツ味を楽しめたのではないかと思った。特にシャルドネは一気に新鮮さが消えてだれてしまった。メルローは華やかな香りが出て、口当たりがよりソフトになっていた。カベルネはブリーザブルグラスで正解。香りがきれいに立ち上がってきた。
タイのワインワイン文化は東京と比べると、まだまだ幼年期。でも朗らかに熱心に楽しくカリフォルニアワインを飲んでくれていて、嬉しかった。

2008年3月12日水曜日

ベルギーでのワインテイスティング





2月末から3月にかけて、ベルギーとパリへ行って来た。
ベルギーのブリュッセルでマークとアニカが1年おきに開催するテイスティングに出席するためだ。今年で10周年を迎える。マークとアニカはヴィンセントというワイン会社を経営している。20年前に娘と3人でキャンピングカーでヨーロッパを巡り、ヴィンエクスポに参加したときに知り合った。「ベルギーへ寄りなよ」というマークの言葉に「オーケー」と夫は軽く答えて、渡されたメモを頼りに、ブルッセルの郊外に住む彼たちを訪ねたのがきっかけだ。ボルドーやブルゴーニュのワインが高く、そして飽きていたマークは情熱を注ぐことが出来る新しい産地を探していた。夫がバイヤーを探していたカリフォルニアのワインがすっかり気に入って、ベルギーで紹介するようになったのだ。

その後、マークはカリフォルニアワイン以外にジェラ、南フランス、ラングドック、ジゴンダス、マディラン、シャトーヌフ・デュ・パプ、南西地方、ローヌ等の産地の無名だった生産者たちをベルギーのワイン市場に紹介した。今ではペゴー(Domaine du Pegau)をはじめ、ホットなワイナリーとして名が知られるようになった生産者も少なくない。マークは、無名な生産者を成功させるエージェントとして押しも押されぬ存在になっている。
テイスティングに参加する生産者が20社ほどだった初回から、夫はカリフォルニアワインを持って参加している。そのころから彼たちの家に泊まるのが習慣になっているのだ。最近のテイスティングには、100の生産者が参加するようになっている。
今年はカリフォルニアワインを10ケース持参。その運びとテイスティングのときにワインを注ぐ助っ人として、私も参加。
今年は相棒が驚くほどにカリフォルニアワインに対する関心が高かった。ドルが弱いからユーロで安く買えることも理由のひとつなのだろう。テーブル2つにずらりと並べられた100本のワインを説明しながら注ぐ。二人ともとても忙しかった。

例年はカリフォルニアワインに関心を持ってブースへやってくるのはオランダとドイツのバイヤーが主なのだけれど、今年はベルギーのバイヤーたちも関心を示していた。 
ワインを注ぐためにやってきている生産者たちは、自分たちのブースが暇になるとカリフォルニアの私たちのブースへやってきて、試飲をしながら真剣な顔でフランス語かベルギー語でぶつぶつと話し合っている。 
昨年の末に我が家を訪れたジゴンダスの生産者、Domaine Les Pallieresのテリーが待ち構えていたように、私たちのブースにやってきた。2日間、暇があればやってきて試飲している。ドイツ人の奥様、コリナは、自分のラベルで独自のワインを造っているというユニークなカップル。コリナは体調が悪くて、今回は欠席。彼たちが造るワインはモダンなスタイルで、なかなかいい。

2日目の夜は100人の生産者が一同に介して食事をするのが慣わしだ。7時30分にバスが出発するというのに、フランス組みは悠々と遅れてくる。8時30分に出発。夕食に飲むワインを各自持参するようにとマークからの指示。私たちは試飲に使ったけれど、まだワインが半分以上残っているボトルを12本持参した。オープンしていないボトルは、もう残っていなかった。ベルギーは、「なんていったって、フランスワイン」という人たちが住む国なのだから、カリフォルニアワインは自分たちのテーブルで飲むのだろうなと予想していた。席について、持ち寄ったワインを置いてあるテーブルにワインを取りに行ったら、カリフォルニアのワインはすでに消えていた。生産者たちは日ごろ飲む機会がないワインを飲んでみたいということなのだろう。
会食が終わって、夜中の1時過ぎに、アニカが運転する車で帰途に着く。うとうとしていて、ふと外を見ると、雪が降っている。高速の道沿いの枯れ木は雪が積もってまるで白い花が咲いたようだった。こんなに雪を見たのは何年ぶりだろう。
ベルギーという国は平らだ。見渡す限りが平地で丘というものがない。薄い青みをおびた空と雲が長い横じまになって伸びていた。 
生えている木々は細くて痩せている。細い白樺の裸樹が目立つ。陽がさす日々が少なく、気温も高くならないのだろう。 

テイスティングの2日前に着いた私たちはアルゼンチンから初めてベルギーへやってきたシルビアとウーゴをブルージュへ案内した。相棒がスペイン語辞典を駆使して会話を進める。シルビアの初歩の英語力と私の初歩のスペイン語で女性同士、何とかコミュニケーションを図る。ショッピングとお茶を飲みたいのはすぐに意思が通じた。ブルージュは中世期に作られたとても美しい町。でも外反母趾の手術をして1年後の左足にはでこぼこのコブラ道はきつかった。
ブルッセルからパリまで汽車で1時間30分。着いたパリもベルギーと同じように寒かった。冬のパリは観光客が少なくて、よく言えばしっとりとしている。悪く言えばちょっと暗い。
テイスティングで長年の知り合いになったドメイン・ミッシェール・オジエ(Domaine Michel Ogier)の若き生産者がパリで食べに行ったらいいよと教えてくれたレストラン「FISH」へメトロで行く。彼のワインが置いてあった。店名どおり魚介類専門のレストランだ。オーナーはフロリダに住んでいたキューバ人。ジェランソーのデザートワインや、ロワールのシェナンブランから造った貴腐菌がついたワインなどをいろいろと飲ませてもらって、ほろ酔い。カフェでエスプレッソを飲んで酔いをさます。道行く人たちは寒そうにマフラーに顔を埋めて急ぎ足。

夜はマークが絶対に行ったらいいと勧めてくれたL’atelierというレストランへ行った。香港、ラスベガス、ロンドン、東京、マカオ、モナコ、ニューヨーク、パリ、東京に店を持つJoel Robuchon が指揮するレストランのひとつだ。5時30分の開店を待つお客さんが列を作っていた。満員で入るのが大変らしい。オープンキッチンを囲む36、全席がカウンター。一皿の料理の量は少なめ。新鮮な白身の魚のタルタルとか、サンフランシスコのAME風のものとか、スペイン風の料理とか、クリエイティヴな料理だ。とても美味しいけれど、カリフォルニアで脂っこくない料理を食べなれている胃袋には結構重く感じられた。
ソノマへ帰ってきたら日中の気温は18度、スモモや桃の花が咲いて、初夏なのだ。カリフォルニアに帰ってきたなあという実感を味わう。

2006年1月18日水曜日

抜糸とランチ

片足で松葉杖での移動になれたころ、手術後、2週 間後に手術医、ドクター・ブリッツを訪問。大柄の男性看護士が抜糸を始める。骨の手術部だから頼もしい男性看護士がいるのかなと思って、聞いてみたら、メディカルアシスタントという職業名で今は男性女性はほとんど関係ないという。婦人科では女性アシスタントをリクエストする患者さんもいるけれどということ だった。でも太目の指で抜糸を始めたときは、ちょっと冷や汗が出て、女性看護婦さんが華奢な指で優しく抜糸してくれるのもいいよなと思った。 
  手術前の先生とのミーティングのときに松葉杖とロボットの足みたいなブーツを渡された。鎮痛剤の処方箋をもらって松葉杖とこのブーツを抱えて薬局部へ行ったときには大変だった。ブーツが椅子から転げ落ちたり松葉杖が椅子二つを占領したりで汗をかいた。
こんな大げさなブーツが必要なはずはない。ドクター、ブリッツが間違ったのだろうとたかをくくって返すつもりで持参したのだが、なんとこれを私が履くのだという。履き方を知っているかと聞くので、もちろん知らないといったら、ブーツ担当の男性が来て丁寧には履き方を説明してくれた。4週間はこれを履かなけれ ばならない。1週目は25%の重み、2週間目は50%、3週間目が75、4週間目が100%体重をかけてもいいのだという。25%ってどうやってわかるの かなと思案していると、ブーツ担当のメディカルアシスタントが体重を4で割って、その分を体重計で測って重みをかければいいという。なるほど。ブーツの重 みを量ったら3ポンド。25%というのは、ほとんど軽く足を床に触れる程度だとわかった。片足の松葉杖と両足をついていながら体重をかけられない松葉杖で の歩き方ではちょっと様子が違う。でも両足がつけるとなんとなくほっとした。 
   2週間ぶりの外出だ。レイとランチはWILLI’S のワインバーで食べることにした。メニューがインターナショナルで一皿の量が少なくて味も悪くない。それに少量ずついろんなワインが飲めるのが何よりも嬉しい。ドクター・ブリッツに「もう、ワインを飲んでもいいですよね」と確認を迫る問い方をしたもので、私の仕事を知っているドクターはうつむいたまま、 ノーとはいえないなという感じで「うん、、、、いーいヨ」と言った。 
   私はピノ・ノワールのフライトを、レイはカベルネのフライトをオーダー。 私のフライトはランドマーク(Landmark),ペレリン(Pelerin)、リンマー(Lynmar),ダニエラ(Daniella)の4つ。

ランドマーク Landmark 2003年 Grand Detour

ライプチェリー、なめし皮の香り。ビーツ、軽めのベーコン、バランスのいいワイン。
この生産者のワインは、いつ飲んでも期待がはずれない。安心して飲める。醸造責任者のエリックは腕のいいクラフトマンだと改めて実感。($30)

ペレリン Pelerin 2004年 サンタ・ルシア・ハイランド

スパイス、なめし皮、チョコミント、チェリー、なめらかな口当たり。時間がたつと開いて美味しさが増した。若いカップル(UCデイヴィス校で栽培醸造学を学 んだクラスメート)が設立した小さなワイナリー。2002年にシラー(130ケース)ピノ・ノワール(165ケース)6年間で3750ケース生産を予定。 ブドウ畑は所有しておらず、良質ブドウを買ってワインを生産。カップルの大志が遂げられることを祈る。($30) 

リンマー Lynmar 2002年 Quail Hill

ロシアン・リヴァー・ヴァレーにあるワイナリー。ローズの花びらの香りの背後に森の湿った落ち葉の香り。ちょっと生の酸。長いフィニッシュ。終わりに苦味が感じられるのが残念。
($45)

ダニエラ Daniella,2002年ナパ・ヴァレー
ライプチェリー、スパイス(クローヴ、シナモン)、まろやか。フルーツ(ベリー)の甘味と酸味が程よくフィニッシュもいい。今飲んで美味しいエレガントでス タイリッシュなピノ・ノワール。今までに聞いたことのないワイナリーで、サイトもない。良質のバルクワインを買ってブレンドしたか、良質なブドウ畑を見つけてそこのブドウを買ってこのピノ・ノワールを造ったワイナリーかもしれない。($38) 

   久しぶりに飲むワインに気を取られて、レイがオーダーしたワインをチェックする暇がなかった。 車外の景色はなんとなく春めいて、ブドウ畑の半分以上は剪定が終わっている。萌えるような若緑の下草が目に染みた。

2005年6月25日土曜日

ピザパーティ




ナパにあるワインリー、ヘイヴンズのオーナー・醸造家、マイケルからピッツアを焼く釜を作ったので、夕食にいらっしゃいと電話があった。キャサリーンとマイ ケルは我が家の犬、7月末に亡くなったゴールデンリトリーバー、サミーの父親と弟の犬の持ち主なので、なんだか親類のような気持ちなのだ。 
   サミーのお母さんはフロッグス・リープのジョンの前妻ジュリーの犬だ。10年前、日本からの訪問者たちとフロッグス・リープ・ワイナリーを訪れて、芝生に敷 いたブランケットに座ってピクニックを楽しんでいたときに7,8匹の子犬が耳をぱふぱふさせながらパーッと私たちめがけて走ってきた。一種の演出だった。 そのうちの1匹が私の膝に乗って、背伸びをして顔をなめた。思わず「うちの子になる?」と聞いたのを耳にしたジョーンが「大切にしてくれるかい?」と電話 をくれたときに、「もちろん!」と叫んだ。そして本当に美しい犬が我が家の家族になった。10歳になったばかりのサミーは7月の末、朝早に眠るように逝っ た。

   数年前に、マイケルとキャサリーンがサミーのお父さんと弟を連れて我が家へやってきた楽しい思い出がある。そして昨年、我が家へ二人がやってきたときには、 サミーの弟もお父さんももう亡くなっていた。サミーを見て「お父さんと同じ顔をしている」と、亡くなった愛犬を思い出してマイケルの目が潤んでいた。今の私と同じだ。 

   ピッツア・ディナーに招かれた日は、我が家にスウェーデンからワインライター、エンブレ・デューズが来ていたので一緒に行くことになった。マイケルのお宅には マイクロオキシジェネレーションの会社のテリーとボルドーのRAVZANの醸造家、モーレが来ているというので、国際的なピッツアーパーティとなった。

   約 14,5年前のことだ。マデランへ行った。試飲させてもらったマデランの赤ワインはタンニンがかなり強くて、きれいなフルーツが隠れてしまっていた。その タンニンをソフトにするための器具(他にも効果があるけれど)として、パトリックが、マデランの自宅の納屋の二階で実験をしているのを見せてもらった。そのパトリックのアイデアは大当たりでいまや世界中から器具の買い手が現れて引っ張りだこ。おまけに競争相手の会社まで現れている。
すさまじい運転振りでマ デランを案内してくれたパトリックが、マイクロオキシジェネレーションの生みの親なのだ。テリーがカリフォルニアのセールスを担当していて、数ヶ月に何度 かずつ、フランスからカリフォルニアにやってくる。テリーが大学を卒業したばかりのころ、ワイン生産の体験をしたいといってカリフォルニアへやってきた。 ハーベストが終わって、ソノマ、ナパのワイナリーを回りたいというので、長髪でオートバイに乗ってやってきたテリーに、当時借りていたアパート兼オフィス に泊めてあげたら、お礼としてオフィスをきれいに掃除してくれた好青年だった。この日、テリーと一緒にディナーにやってきたモーレはボルドーの RAVZANでこの器具を86機使っているという。

   スウェーデンのライター、エンブレはなんと国会議員でもあるという。モデレート・パーティ(穏健派)に属するリベラルコンサーバティヴ(保守的でありながら リベラル?)で、ゲイ同士の結婚とか、妊娠中絶に関しては賛成なんだそうだ。スウェーデンは社会主義の国なので、輸入するワインは政府のワイン担当機関の 許可を得なければいけない。そういう国で国会議員であってワインライターというのは、どういうことなのだろう。でも彼はとっても楽しそうで、ワインに誠実 だった。 
ベランダのテーブルにオリーブ、パン、チーズ、イタリアの生ハムなどと一緒に2つの白ワインが並べられた。 

2004年、Havens のアルバリーニョ
カリフォルニアの白とは思えないきれいな酸味とピュアーなフルーツ。「日本食に良くあうね」とエンブレが私を見てにっこり。 

1999年、Havensシャルドネ、マグナム
へイヴンズではもうシャルドネは生産していない。黄金色、ピーチ、アプリコット、ピーナッツオイル。14年たったシャルドネは今が飲み頃だった。「カリフォ ルニアのシャルドネは長くもたないといったのは、だれだっけ?」とキャサリーン。ボルドーの醸造家、モーレが「トレ・ボン(とてもいい)」と言った。 ピッツアの釜に入れた火が赤くなるのを待っている間、レイとマイケルはひと泳ぎ。カリフォルニアのライフスタイルだ。泳がない人たちのためにキャサリーンが赤ワインを持ってきてくれた。 

2002年Havens メルロー
ブラックベリーなどの黒系フルーツ。味わいにフルーツの核がある。なめらかで美味しい酸がたっぷり。酸はもう少しこなれるまで待ちたい。 「ピッツアが焼けたよ!」とマイクが叫ぶ。いそいそとダイニングテーブルに向かう。フレッシュで新鮮な素材を使ったピッツアはとっても美味しかった。
デザートもピーチがトッピングのピッツア。8つの違うトッピングのピッツアをいただいた。 アルザス出身のテリーがピッツアを食べながら、「アルザスにもピッツアがあるよ」という。ホワイトソースかサワークリーム、ベーコン、ナツメグなどが載せられるのだそうで、アルザスの白ワインにマッチしそう。 

1994年Havensボリコ
これはキャサリーンが「ブラインドでね」といってあけた。私はカリフォルニアのテンプラニーリョかと思った。良く熟成していたので、古いヴィンテージであることだけは確かだったけれど、ブドウはメルローとカベルネ・フランだった。 

1994年Pahlmeyer メルロー
「も う一つブラインドよ」とまたキャサリーンがオープンした。ポテトスキンの香りとタンニンが際立っていた。デキャンタをしたら?と言う私の意見に快く賛成し てくれた。デキャンタ後は全く別のワインの表情を見せてくれた。香りがよみがえってカシスの香りが立ち上がってきた。フルーツの甘味、酸はまだこなれてい ない。今流行の濃くて厚みのあるタイプではなくて、まだ若くてチャーミングなカリフォルニアワインだった。
「こういうワインの時代の終わりが始まった年」 と誰かがぽつりと言って、みんながうなずいた。 その他に4本ほど赤ワインが出て、コニャックが出てきた。私は運転しなければならないので、水に切り替えた。 レイとマイクは政治の話になると止まらない。会話を強力に中断させて帰途に着いた。