2007年3月8日木曜日

アーネスト・ガロ氏死去

3月7日付けの地元の新聞によるとガロ・ワイナリーの設立者、アーネスト・ガロ氏が亡くなったという。享年97歳だった。

イタリア移民の子供だったジュリオとアーネスト兄弟は禁酒法廃止後、1933年にワイナリーを設立し、アメリカワイン市場最大の売り上げを誇る巨大ワイナリーに拡大した。また毎年一定した質のカリフォルニアワインを海外に広めたのもガロだった。 アーネストがワインのマーケティングとプロモーションを、1歳だけ若い弟のジュリオがワイン生産とブドウ栽培を担当。二人三脚でかなりごつい商売を繰り広げた話は、よく耳にしたものだ。 ジャグワイン(大瓶に入ったデイリーワイン)でほぼ市場を独占していた時代を経て、プレミアムワインが優勢を誇る時代に入ると、そのマーケットの変化に合わせてソノマに大型ワイナリーを設立し、大型ではあっても孫が経営を担当しているファミリー経営のワイナリーであるというイメージを売る賢いマーケティングを展開、プレミアムワインの市場でも成功を収めている。

ガロファミリーは悲劇的な物語に包まれていた。兄弟の父親は大不況がアメリカを襲った時代に借金が重なり、妻と心中してしまった。またジュリオは1993年にジープの事故で死亡。乳製品を生産していた末の弟ジョセフとはガロという名前をチーズにつけるつけないで法廷で争い、弟が敗訴し、それ以来、兄二人とは言葉を交わすことなく、87歳だったジョセフはアーネストが亡くなる3週間前に死去した。 10年ほど前にお会いした時には80代になっていらしたと思うが、現役のビジネスマンとして才腕をふるっていた。鋭い目に時々優しさが宿るかくしゃくとした老紳士で、尊敬の念を抱いたのを記憶している。 カリフォルニアワイン産業界における世代交代が確実に進んでいる。カリフォルニアワイン史に大きな足跡を残したパイオニアが消えた。