2010年6月28日月曜日

Bistro Sabor


サンフランシスコで200ほどのピノ・ノワールだけのテイスティングがあった。ソノマは30度を越す暑さなのにサンフランシスコは20度とひんやり。典型的なサンフランシスコの夏。その涼しさに備えて長袖のブラウスにジーンズ、歩きやすいスポーティな靴を履いて試飲をこなした。4時過ぎに帰路に着いたら、ラッシュアワー。思ったより帰り着くのに時間がかかった。
この日の夕方、ナパの町のカジュアルなラテンフッドのビストロBistro Saborのオープニングに招待されていた。家に帰って着替える時間がなくなったので、そのままレストランに駆けつけた。
オープニングだから、少しだけドレスアップした人たちが多かった。サンダルくらい車に積んでおけばよかったなと思ったけれど後の祭り。
3社ほどのワイナリーが赤ワインを注いでいた。タコス風の食べ物にあうのかなあと思いながら、でも飲んだことのないブランドなので、まずは試飲しようとカウンターに行った。太目のアイラインをくっきりと描いた女性がワインを注いでいた。胡散臭そうに私を見て、なるべくなら注ぎたくないとはっきりと顔に書いてある。グラスがなくなったから、入り口のカウンターから持ってくるようにと私に言った。いやな気がしたけれど素直にしたがってグラスを持参。私の前の女性には丁寧に説明していたのに、私には一言も話さずどうでもいいといった様子でワインを注ぐ。
「品種のブレンドは?」投げやりにボルドー品種の名前を挙げた。
「ああ、ボルドー・ブレンドね」といってそこを離れた。ふと振り返ると彼女は私を凝視していたらしくあわてて視線をはずした。「なんなのあんた」とよっぽど言いに行こうかと思ったけれど、最近気管支炎を患って疲労気味で気が短くなっているのを自覚していたから抑えた。
油でからっと揚げたタコスに鮭の酢漬け、ベジタリアン用に豆、ビーフ(これは辛すぎて絶対に赤ワインにマッチしない)がのっていて美味しかった。
Cejaワイナリーのオーナーであるアメリア・セハさんの息子がオープンしたビストロ。母親のアメリアさんがお客さんたちに挨拶していた。私を見つけて、写真に収め、みんなにこのレストランを広めてくださいとにこやかに言った。一人でワイナリーを立ち上げた女性だ。
ナパの町(ワイナリーではなくて)の多くの住民は閉鎖的で田舎のスノブだ。一人だけでやってきた日本の女(私)を、遠くからちらちらと見ている。絶対に微笑まない。
それにしても服装だけで人を判断するのは、なんとも浅はかで情けない。人によって、事情があることを想像(もし想像力があるなら)したり、表面だけで人を評価しない大人になる努力をすることを期待するのは期待のし過ぎ?