2008年11月22日土曜日

新しく出来たワイン屋さん




真夏のような気候が続いたワインカントリー。でも昨夜、雨が降った。ブドウ畑は葉が黄色になり、一雨ごとに葉が落ちていく。いよいよ、晩秋。そうだよね。もう来週は感謝祭だもの。
薄ら寒くて、そして冬時間になったので、5時には、もう暗いソノマ。相棒の親友が癌になってしまい、どうしても会いたいというメールを受けて、ロサンゼルスまで車を飛ばした。独身になった私はソノマの町の外れにできたワインショップ兼テイスティングルームValley Wine Shack へ寄ってみた。
サンフランシスコからやってきた女性、ウィンディがオープンした店で、とてもフレンドリー。個性のあるワインをリーズナブルな価格で出している。
今日は2006年パッツ&ホールのソノマ・コーストのピノ・ノワールがグラス売りのリストに載っていた。大きなグラスに半分以上とたっぷり注がれて5ドル50セント。お客は私一人。スペインのアーモンドをつまみにワインを楽しむ。サンタ・バーバラのピノに比べると、酸味が隠し味風に利いている。どちらかというとシラータイプのふっくらとしたピノ。期待したピノらしさではなくて、造り手の凜としたフィーリングもなかったけれど、美味しいことは確か。シナモンとかクローブといったスパイスが特徴的だったからシチューでも合いそう。冬の夜は、きりっと酸味が利いたピノより、このタイプのほうがほっとするかも。
ほっとして、さあ、これからブロードウエイにある小さなタイレストランへ行こうかなと思っていたら、若いはつらつとした女性ディストリビューターが、この夜のためにカリフォルニア産ではない6つのフレンドリー価格のワイン持参でやってきて、ワインをカウンターに並べ始める。10ドルで試飲できるという。せっかくだからと試飲してみた。サボアの白、品種の名前は聞いたことがないものだった。1本が13ドル。それからノーオークの南仏のシャルドネ、なんだか味がぼんやりしているけれど、オークがギンギンで甘いシャルドネよりはましかな。1本が9ドル。アルゼンチンのメンドーサのピノが9ドル。「ブラインドだとピノだとわからないけれど、9ドルの赤ワインとしてなら、軽めで悪くないんじゃない」といったら、「いいコメントありがとう!」とにっこり。最後はシャンパン。
同じように試飲していた男性二人組みの一人が、コンサルタントだそうで、アイルランド人でソノマに住んで6年目。名前はライアン。あまり評価していないソノマの某ワイナリーのコンサルタントだという。彼がスペインのワインを1本かって、それを私に注いでいでくれた。アメリカオーク独特のココアの粉末の味がちょっと気になったけれど、ブドウはよく熟しているから、楽しく飲めた。せっかくだからとそれも飲んで、外に出た。
ディナー前に食前酒として寄ったワイン屋さんで結果的にはディナーにはワインはいらないほど飲んでしまった。ほろ酔い気分でタイレストランへ行って夕食をして帰宅。
仕事をするつもりだったのだけれど、出来なかった。

2008年11月15日土曜日

サンタ・バーバラ・カウンティのセミナー無事終了



日本ソムリエ協会の関東支部と関西支部の例会でサンタ・バーバラ・カウンティのワインについてのセミナーを無事終えて、今日帰ってきた。
寒いはずのサンフランシスコ空港、それがまるで真夏のように暑いので驚いた。ソノマは30度を超える暑さだ。11月にこれほど暑くなったのは、100年ぶりとか。空気が乾燥しているので、青い空の下の景色はとてもクリアー。ああ、北カリフォルニアに帰ってきたなあという実感。ゴールデンブリッジから見える青い海に点々と並んでいる白いヨットの帆がまぶしい。
例会では、懐かしい方々、初めての方々にお会いできてとても嬉しかった。東京、大阪ともサンタ・バーバラのワインに関心を持ってたくさんの会員の方が参加してくださった。
酸味がきれいで、フルーティで軽やかなピノ、シャルドネ、シラー、ルーサンヌ、マルサンヌ、ヴィオニエ、ボルドー系品種のワイン等、セミナーでの9つのワインに加えて40種類のワインを試飲してもらった。機会を作ってくださったソムリエ協会関東支部と関西支部に感謝。
ワイナリー3社が一緒。キューペのボブは日本は始めて。日本が気に入ったので、この次は時間をかけて回ってみたいと言っていた。ヒッチングポストのグレイは映画「サイドウエイ」の上映に伴って日本へ来たので、今回で2度目。日本女性の優しさと美しさに惚れ惚れ。言葉が通じないから、なおさらそう感じるのかも?なーんて。オーボンクリマのマイケルは以前に日本の会社を含めてゴルフ関係の仕事をしていたので、日本語が少し出来る。英語で会話をしているときに、突然片言日本語が入るから、調子が狂って、笑ってしまうことがしばしばあった。
早速、サンタ・バーバラ・カウンティのワイナリーの方たちに報告したい。

2008年11月11日火曜日

オバマ快勝


オバマが圧倒的な強さで次回大統領に選ばれた。なんとなくそうだろうなと思っていたけれど、もしかしてとという不安があった。
選挙日はランスとサンディの家で開票の様子をテレビで見た。カリフォルニアの投票所は夜の8時に閉められる。でも時差があるアメリカでは8時前に、もうオバマの当選確実がわかってしまう。そうなると投票に行かない人も出るので、一応、テレビではオレゴン、カリフォルニア、ワシントン州が8時になった瞬間に、オバマ当選確実という読みを伝えた。
テレビの報道は大晦日を思わせた。各都市では大勢に人たちが集まって(もちろん共和党と民主党が別々に)テレビと見て大歓声。オバマが演説するシカゴの公園に20万人が押しかけていた。多くの黒人たちが涙を流している。初めて黒人が大統領になった選挙、それも圧倒的な勝利。オバマの勝利宣言の演説を、白人、黒人、アジア人、さまざまな年齢層の人たちが目を輝かして、うなずきながら聴いている。多くの人たちが信じていたデモクラシー、平等の国、アメリカに戻る日が来ることに興奮している。そうなるといいな。
相棒と親友のランスは「ヘーイ、マン、ジスイズ、クール!」と肩を叩き合った。この二人は学生時代にロサンゼルスで、全ての人種が平等になる日を目指してある意味で命をかけて戦ったのだった。11月4日、大掛かりな学生運動のリーダーの一人として刑務所にぶち込まれた日でもあるのだという。南部のアラバマまで出かけて市民運動を支援、白人が何でここにいると白人全てを敵とみなすグループに敵視されたときに、温厚な黒人グループが車のトランクに相棒を隠して逃がしてくれたのだそうだ。
冗談半分本気半分で、もしマケインが勝ったら、数年、この国を出ようという。行く国はアルゼンチン。そこで、この日飲んだワインにアルゼンチンのワインが含まれていた。
まずセインツベリーのCerise Vineyardのピノ。アンダーソン・ヴァレーの畑のピノなので、軽やかなピノと思っていたのだけれど、この夜はとてもよく熟しているぶどうのピノだった。それでランスが自分用に数人の仲間たちと造っている Guerrilla Vinoのカサ・カーネロス・ヴィンヤードのスワン・クローンのピノをオープン。こちらはピノらしい軽やかさを持っていた。そしてアルゼンチン、メンドサ地区の Cuvelier Los Andesのマルベック。すこし野生っぽい、それでいてこの国のマルベックが持つ独特の熟したマルベック味がびっしり詰まっていた。そして Bellaのジンファンデル。これはすこし酸化した味がした。いつものことだけれど4人で4本。だから一応一人1本飲んでいるということ。
そう、私は歴史的な選挙をアメリカにいてみることが出来たのだ。

2008年11月6日木曜日

カリフォルニアワインとジャズ



週末の夜、友人のケイコさんのお宅でホームコンサートが開かれた。ケイコさんのお宅は天井が高く、広々とした板張りの居間に立派なグランドピアノが置かれていて、コンサートにぴったりなのだ。
この夜はソノマに住むジャズギターリストのブライアン・ノヴァを招いてのコンサート。忙しいスケジュールの合間を縫って、ケイコさんのリクエストに応えて来てくれたもの。ブライアン・ノヴァは毎年年末に日本で朝日(だったと思う)新聞主催のジャズコンサートを開いているという。
20人ほどが集まった。この夜は、日本人は3人しかいないのに、「コンバンワ!ワタシノナマエハブライアンデス」と日本語で挨拶。12月の日本公演に向けて日本語の勉強?
私はどちらかというと、スピード感のあるハードロックが好きなのだけれど、友情参加。隣の町のトモコさんも「じゃあ、友情の友情だわね」といってやってきた。
居間をちょっとサロンっぽくして小さなテーブルを何個か置いてそれを囲む椅子がおいてある。キャンドルを灯したらという私のサジェスチョンに、いいアイデアねというので、キャンドルが灯って、いい雰囲気。
さて、ワインを飲みながら聴くのに、どのワインがいいかしら。女友達と一緒だから、白ワイン。そこでフォーマンのシャルドネを持参。酸味が程よく利いていて、それでいてフルーツが豊かなので、食べ物無しで、2グラスは軽い。同じ気持ちの人がいたようで、あっという間に空になってしまった。
地元のグローリア・フェラーの女性社長イヴァがスパークリングワインを数本持参。これも好評。
この夜は難しいジャズではなくて、古きよき時代のラブソングと楽しいジョークを交えての演奏。ジャズとはこういうものという解説もしてくれた。なるほど。演奏者同士の会話なのだそうだ。ギターのテクニックは抜群。生演奏、それもすぐ近くで聴くことが出来る生演奏というのは、最高の贅沢。
ジャズとカリフォルニアワイン。いい感じ。

2008年11月2日日曜日

心を温めてくれるワイン



収穫が終わって、ブドウ樹の葉が黄色くなって、そして初雨が降った。晩秋。ハローウイーンが終わり、感謝祭がやってくると、あっという間にクリスマス。そして2008年が終わる。ため息。
テレビは大統領の選挙の話で持ちきり。初黒人大統領が誕生するのだろうか。するといいなと期待している。
明日から冬時間になる。そうすると夕方の6時は暗くなる。シトシト雨が降って、暗いのは、ちょっと苦手。でもそういう気分のときに、気持ちを引き立ててくれるワインを飲んだ。ドメイン・カーネロスのアイリーン(社長)とご主人のディックと一緒にソノマのESTATEというレストランでディナーをした。
ここは前はGeneral's Daughterというレストランだったのだけれど、オーナーが変わって、メニューも変えての再デビュー。新しい女性オーナーはThe girl&the fig のオーナーでもある。地元の食材を使ったイタリア料理だ。
マーティネリーのゲヴルツトラミーナで乾杯。アルザススタイルのボディとコクがある辛口の白ワイン。きりっとした酸味のある爽やかワインより、この夜はこういう口当たりがグリセリンのようにとろっとした白のほうが、気分に合う感じ。アンティパスタ、特にベビータコの一品とよくマッチ。
アイリーンが持参してくれたフェイマス・ゲートのピノ・ノワールはちょっとスモーキーでダークチェリーの味と香りがする。サンタ・バーバラ・カウンティのピノ・ノワールにくらべると、酸味がソフトで、ワインにふくらみがある。産地の特色の違いだ。優しく包み込んでくれるようなワインで、心が和んだ。ダックととてもよくあってくれた。
ソムリエさんがブラインドで飲んでみてと、ブルゴーニュ用の底が膨らんだグラスに赤ワインを注いで持ってきてくださった。相棒が即「イタリアワインだ。ネビオッロ」といった。当たり!どうしてと聞いたら、イタリアワインの香りがするという。なるほど。
暗くて、シトシトピッチャンの雨の中、友人とのディナー、ワインが心を温めてくれた。