2008年12月28日日曜日

分かち合いたかったピノ



このところ、毎晩のパーティ続きで、コンピューターに向う時間がない。今日も3つのパーティにでかける。
それで後追いで書くことにした。
ピノが好きな親友のランスにずいぶん前から一緒に飲みたいワインがあるといい続けてきた。でもなぜか、この日まで一緒に飲むチャンスがなかった。娘が帰郷したので、ディナーパーティをすることにしたので、この夜だと、遂にこのピノ・ノワールをオープン。
その前にまずオーストラリアのリースリング。相棒がいつものように料理を担当。スモークフィッシュの1品とよくマッチ。リースリングというと初心者が楽しむ甘いだけのワインと思う方もいると思うけれど、今、ミネラルが特色のきりっとしたリースリングがマーケットに登場して、静かなリースリングブーム。このオーストラリアのリースリングも灯油香が特色のユニークな辛口リースリング。
それから2003年のハーモニークのピノ。同じ生産者で、カリフォルニアスタイルとブルゴーニュー(軽やかという意味で)スタイルの2つを造っているので、その二つを比べてみた。ワイナリーはメンドシーノのアンダーソン・ヴァレーというとても涼しい地区にある。2003年だけれどまだまだフルーツがきちんと残っていて、若々しい。ブルゴーニュスタイルのほうがいいというのが、全員の意見。カリフォルニアスタイルはこくはあるけれど、大胆すぎるかも。でもブルゴーニュスタイルとは呼んでいるけれど、それでもコクがあって、決して軽いワインではなかった。カリフォルニアのピノはカリフォルニアらしくて,それでいい。たのしく美味しく飲んだ。
次はドイツ人の女性でジゴンダッシュに住んでいて、醸造家のご主人とは別のラベルできれいな赤ワインを造っている。二人が我が家へ遊びに来たときにおいていってくれたワイン。フルーティで、軽やか。
最後はランス造っているリレントレスと名づけたカベルネとチーズで締めた。
この夜も5人で5本。まあ、標準ね。

2008年12月24日水曜日

マヤのハピーアワー


ひどく寒い日々と雨降りが続いてクリスマスを迎えることになりそう。ブドウ樹の葉がすっかり落ちてこげ茶色の枝が箒のようだ。ホリデーシーズンになるとあちこちでちょっとした集まりが開かれる。先日はソノマのインターナショナルクラブのメンバーがマヤというメキシコレストランのハピーアワーに集合。さすがにみんな忙しいようで、集まったのは6人ほど。フランス人と日本人。チップスにサルサをつけながら、それをつまみにマヤ・マルガリータを2杯飲んだらいい気持ちになった。全員で話すときは英語、分かれて話すときは日本語とフランス語が飛び交っていて、お互いにそれに気がついて笑った。
ハピーアワーに集まるのはなかなかの人気らしく、大勢のグループが席を陣取って大賑わいだった。明日は我が家で帰ってきた娘と友人でディナーをする。

2008年12月13日土曜日

もうすぐクリスマス



今冬初霜が降りた。朝方、緑色になった草の上部を真っ白にしている霜に明るい太陽が降り注いでいる。寒いのか、温かいのか、家の中にいるとわからない。このあたり独特の冬の景色。
でも、12月も半ば。あちこちの家や店や公園に電飾が灯って、いよいよホリデーシーズン到来。
毎年、まぶしいくらいにきれいに電飾が庭中、そして屋根にも飾られる家がある。とってもきれいなのに、そこを通るとなぜかしら哀しみが感じられるのだ。それも毎年。娘も同じ気持ちになるというので、何か理由があるのねと話しては通り過ぎていた。よく見ると軒先に「アンディの思い出のために」と書いてある。やっぱりそうかと思った。あるとき、この町の高校に通ったという青年にその話をしたら、アンディを知ってるという。私も新聞で読んで心が痛んだ事故だった。もう10年以上も前のこと。感謝祭の日に19歳だったアンディを助手席に乗せて、酔っ払い運転で23歳ほどだった青年が木に衝突。アンディだけが即死した。アンディは一人娘だった。この記事を読んだとき、毎年感謝祭が、それは哀しい日になるのだなあと、母親のことを思って心が痛んだ。この母親は、仕事を辞めて、バンを買って、「質問は一切無し。電話が来たら、迎えに行って送り届ける」ボランティア活動をはじめたのだった。今でもそれを続けている。そして毎年、クリスマスのシーズンがやってくると、きらびやかに電飾で家を飾っている。写真を撮るのに立ち寄ったら、クリスマスの音楽も流れていた。自転車に乗った若者や、車に乗った女性が、車を止めたり、ゆっくり走らせて見ている。知り合いなのだろう。
その隣のブロックに、新しい見事な電飾を飾った家が新登場したので、その写真も撮った。
クリスマスというと楽しいことばかり思い描くけれど、華やかな電飾の後ろに、いろんなストーリーがある。

2008年12月2日火曜日

感謝祭



感謝祭が終わってクリスマス(ホリデーシーズン)に突入。今年も見るたびにむっとする(だいぶなれたけど)2つのコマーシャルが流れ始めた。「ダイアモンドは永遠」というキャッチフレーズで始まるコマーシャル、大きな赤いリボンをつけたレクサスのコマーシャル。なぜむっとするのかって?永遠に買ってもらえないものだからよ!!
今年の感謝祭は不運だった。サンディエゴからやってくる娘を飛行場まで迎えに行って、家族3人でサンフランシスコのレストランで夕食をする予定だった。目的のレストランへ入って、オーダーした料理がテーブルに並んだころから、なんだか気持ちが悪い。ついにトイレで吐いた。情けない。食中毒かストマック・フルー(お腹に来る風邪?)にやられたらしい。
翌日の感謝祭は1日眠ってた。七面鳥を食べない感謝祭(ため息)。それでも翌日、金曜日は恒例の町に出ての朝食(私はトーストだけ)、グラレフィという一人の人物しかレシピを知らないという飲み物を娘と相棒、友人夫妻(私は炭酸水だけ)は楽しみ、プラザをぶらついた。
夜はランスとサンディの家でもう17年続いている残ったターキーを使ったターキータコディナーにクラッカー持参で参加。特殊なゴムを使って風呂敷でワインを包んで出かける。これは友人が考案したもの。彼女のサイトは www.planetfinds.com風呂敷は持って帰ろうと思ったら、友人が「あら、プレゼントじゃないの?」とがっかりした表情をするので、グリーンのをあげた。紙を使わず、再利用できるのが今の時代にぴったり。ランスとサンディのターキータコ・パーティは30人ほどが出たり入ったりの大賑わい。残ったターキーを使っての料理という目的は超えてしまって、ランスはメキシコ料理の別料理を何度もオーブンを使って料理してはせっせとカウンターに並べていた。

1993年のノールのマグナムがオープンされた。そのコメントをせよと意地悪をした友達の写真を載せて、で、ワインの話はなし。

2008年11月22日土曜日

新しく出来たワイン屋さん




真夏のような気候が続いたワインカントリー。でも昨夜、雨が降った。ブドウ畑は葉が黄色になり、一雨ごとに葉が落ちていく。いよいよ、晩秋。そうだよね。もう来週は感謝祭だもの。
薄ら寒くて、そして冬時間になったので、5時には、もう暗いソノマ。相棒の親友が癌になってしまい、どうしても会いたいというメールを受けて、ロサンゼルスまで車を飛ばした。独身になった私はソノマの町の外れにできたワインショップ兼テイスティングルームValley Wine Shack へ寄ってみた。
サンフランシスコからやってきた女性、ウィンディがオープンした店で、とてもフレンドリー。個性のあるワインをリーズナブルな価格で出している。
今日は2006年パッツ&ホールのソノマ・コーストのピノ・ノワールがグラス売りのリストに載っていた。大きなグラスに半分以上とたっぷり注がれて5ドル50セント。お客は私一人。スペインのアーモンドをつまみにワインを楽しむ。サンタ・バーバラのピノに比べると、酸味が隠し味風に利いている。どちらかというとシラータイプのふっくらとしたピノ。期待したピノらしさではなくて、造り手の凜としたフィーリングもなかったけれど、美味しいことは確か。シナモンとかクローブといったスパイスが特徴的だったからシチューでも合いそう。冬の夜は、きりっと酸味が利いたピノより、このタイプのほうがほっとするかも。
ほっとして、さあ、これからブロードウエイにある小さなタイレストランへ行こうかなと思っていたら、若いはつらつとした女性ディストリビューターが、この夜のためにカリフォルニア産ではない6つのフレンドリー価格のワイン持参でやってきて、ワインをカウンターに並べ始める。10ドルで試飲できるという。せっかくだからと試飲してみた。サボアの白、品種の名前は聞いたことがないものだった。1本が13ドル。それからノーオークの南仏のシャルドネ、なんだか味がぼんやりしているけれど、オークがギンギンで甘いシャルドネよりはましかな。1本が9ドル。アルゼンチンのメンドーサのピノが9ドル。「ブラインドだとピノだとわからないけれど、9ドルの赤ワインとしてなら、軽めで悪くないんじゃない」といったら、「いいコメントありがとう!」とにっこり。最後はシャンパン。
同じように試飲していた男性二人組みの一人が、コンサルタントだそうで、アイルランド人でソノマに住んで6年目。名前はライアン。あまり評価していないソノマの某ワイナリーのコンサルタントだという。彼がスペインのワインを1本かって、それを私に注いでいでくれた。アメリカオーク独特のココアの粉末の味がちょっと気になったけれど、ブドウはよく熟しているから、楽しく飲めた。せっかくだからとそれも飲んで、外に出た。
ディナー前に食前酒として寄ったワイン屋さんで結果的にはディナーにはワインはいらないほど飲んでしまった。ほろ酔い気分でタイレストランへ行って夕食をして帰宅。
仕事をするつもりだったのだけれど、出来なかった。

2008年11月15日土曜日

サンタ・バーバラ・カウンティのセミナー無事終了



日本ソムリエ協会の関東支部と関西支部の例会でサンタ・バーバラ・カウンティのワインについてのセミナーを無事終えて、今日帰ってきた。
寒いはずのサンフランシスコ空港、それがまるで真夏のように暑いので驚いた。ソノマは30度を超える暑さだ。11月にこれほど暑くなったのは、100年ぶりとか。空気が乾燥しているので、青い空の下の景色はとてもクリアー。ああ、北カリフォルニアに帰ってきたなあという実感。ゴールデンブリッジから見える青い海に点々と並んでいる白いヨットの帆がまぶしい。
例会では、懐かしい方々、初めての方々にお会いできてとても嬉しかった。東京、大阪ともサンタ・バーバラのワインに関心を持ってたくさんの会員の方が参加してくださった。
酸味がきれいで、フルーティで軽やかなピノ、シャルドネ、シラー、ルーサンヌ、マルサンヌ、ヴィオニエ、ボルドー系品種のワイン等、セミナーでの9つのワインに加えて40種類のワインを試飲してもらった。機会を作ってくださったソムリエ協会関東支部と関西支部に感謝。
ワイナリー3社が一緒。キューペのボブは日本は始めて。日本が気に入ったので、この次は時間をかけて回ってみたいと言っていた。ヒッチングポストのグレイは映画「サイドウエイ」の上映に伴って日本へ来たので、今回で2度目。日本女性の優しさと美しさに惚れ惚れ。言葉が通じないから、なおさらそう感じるのかも?なーんて。オーボンクリマのマイケルは以前に日本の会社を含めてゴルフ関係の仕事をしていたので、日本語が少し出来る。英語で会話をしているときに、突然片言日本語が入るから、調子が狂って、笑ってしまうことがしばしばあった。
早速、サンタ・バーバラ・カウンティのワイナリーの方たちに報告したい。

2008年11月11日火曜日

オバマ快勝


オバマが圧倒的な強さで次回大統領に選ばれた。なんとなくそうだろうなと思っていたけれど、もしかしてとという不安があった。
選挙日はランスとサンディの家で開票の様子をテレビで見た。カリフォルニアの投票所は夜の8時に閉められる。でも時差があるアメリカでは8時前に、もうオバマの当選確実がわかってしまう。そうなると投票に行かない人も出るので、一応、テレビではオレゴン、カリフォルニア、ワシントン州が8時になった瞬間に、オバマ当選確実という読みを伝えた。
テレビの報道は大晦日を思わせた。各都市では大勢に人たちが集まって(もちろん共和党と民主党が別々に)テレビと見て大歓声。オバマが演説するシカゴの公園に20万人が押しかけていた。多くの黒人たちが涙を流している。初めて黒人が大統領になった選挙、それも圧倒的な勝利。オバマの勝利宣言の演説を、白人、黒人、アジア人、さまざまな年齢層の人たちが目を輝かして、うなずきながら聴いている。多くの人たちが信じていたデモクラシー、平等の国、アメリカに戻る日が来ることに興奮している。そうなるといいな。
相棒と親友のランスは「ヘーイ、マン、ジスイズ、クール!」と肩を叩き合った。この二人は学生時代にロサンゼルスで、全ての人種が平等になる日を目指してある意味で命をかけて戦ったのだった。11月4日、大掛かりな学生運動のリーダーの一人として刑務所にぶち込まれた日でもあるのだという。南部のアラバマまで出かけて市民運動を支援、白人が何でここにいると白人全てを敵とみなすグループに敵視されたときに、温厚な黒人グループが車のトランクに相棒を隠して逃がしてくれたのだそうだ。
冗談半分本気半分で、もしマケインが勝ったら、数年、この国を出ようという。行く国はアルゼンチン。そこで、この日飲んだワインにアルゼンチンのワインが含まれていた。
まずセインツベリーのCerise Vineyardのピノ。アンダーソン・ヴァレーの畑のピノなので、軽やかなピノと思っていたのだけれど、この夜はとてもよく熟しているぶどうのピノだった。それでランスが自分用に数人の仲間たちと造っている Guerrilla Vinoのカサ・カーネロス・ヴィンヤードのスワン・クローンのピノをオープン。こちらはピノらしい軽やかさを持っていた。そしてアルゼンチン、メンドサ地区の Cuvelier Los Andesのマルベック。すこし野生っぽい、それでいてこの国のマルベックが持つ独特の熟したマルベック味がびっしり詰まっていた。そして Bellaのジンファンデル。これはすこし酸化した味がした。いつものことだけれど4人で4本。だから一応一人1本飲んでいるということ。
そう、私は歴史的な選挙をアメリカにいてみることが出来たのだ。

2008年11月6日木曜日

カリフォルニアワインとジャズ



週末の夜、友人のケイコさんのお宅でホームコンサートが開かれた。ケイコさんのお宅は天井が高く、広々とした板張りの居間に立派なグランドピアノが置かれていて、コンサートにぴったりなのだ。
この夜はソノマに住むジャズギターリストのブライアン・ノヴァを招いてのコンサート。忙しいスケジュールの合間を縫って、ケイコさんのリクエストに応えて来てくれたもの。ブライアン・ノヴァは毎年年末に日本で朝日(だったと思う)新聞主催のジャズコンサートを開いているという。
20人ほどが集まった。この夜は、日本人は3人しかいないのに、「コンバンワ!ワタシノナマエハブライアンデス」と日本語で挨拶。12月の日本公演に向けて日本語の勉強?
私はどちらかというと、スピード感のあるハードロックが好きなのだけれど、友情参加。隣の町のトモコさんも「じゃあ、友情の友情だわね」といってやってきた。
居間をちょっとサロンっぽくして小さなテーブルを何個か置いてそれを囲む椅子がおいてある。キャンドルを灯したらという私のサジェスチョンに、いいアイデアねというので、キャンドルが灯って、いい雰囲気。
さて、ワインを飲みながら聴くのに、どのワインがいいかしら。女友達と一緒だから、白ワイン。そこでフォーマンのシャルドネを持参。酸味が程よく利いていて、それでいてフルーツが豊かなので、食べ物無しで、2グラスは軽い。同じ気持ちの人がいたようで、あっという間に空になってしまった。
地元のグローリア・フェラーの女性社長イヴァがスパークリングワインを数本持参。これも好評。
この夜は難しいジャズではなくて、古きよき時代のラブソングと楽しいジョークを交えての演奏。ジャズとはこういうものという解説もしてくれた。なるほど。演奏者同士の会話なのだそうだ。ギターのテクニックは抜群。生演奏、それもすぐ近くで聴くことが出来る生演奏というのは、最高の贅沢。
ジャズとカリフォルニアワイン。いい感じ。

2008年11月2日日曜日

心を温めてくれるワイン



収穫が終わって、ブドウ樹の葉が黄色くなって、そして初雨が降った。晩秋。ハローウイーンが終わり、感謝祭がやってくると、あっという間にクリスマス。そして2008年が終わる。ため息。
テレビは大統領の選挙の話で持ちきり。初黒人大統領が誕生するのだろうか。するといいなと期待している。
明日から冬時間になる。そうすると夕方の6時は暗くなる。シトシト雨が降って、暗いのは、ちょっと苦手。でもそういう気分のときに、気持ちを引き立ててくれるワインを飲んだ。ドメイン・カーネロスのアイリーン(社長)とご主人のディックと一緒にソノマのESTATEというレストランでディナーをした。
ここは前はGeneral's Daughterというレストランだったのだけれど、オーナーが変わって、メニューも変えての再デビュー。新しい女性オーナーはThe girl&the fig のオーナーでもある。地元の食材を使ったイタリア料理だ。
マーティネリーのゲヴルツトラミーナで乾杯。アルザススタイルのボディとコクがある辛口の白ワイン。きりっとした酸味のある爽やかワインより、この夜はこういう口当たりがグリセリンのようにとろっとした白のほうが、気分に合う感じ。アンティパスタ、特にベビータコの一品とよくマッチ。
アイリーンが持参してくれたフェイマス・ゲートのピノ・ノワールはちょっとスモーキーでダークチェリーの味と香りがする。サンタ・バーバラ・カウンティのピノ・ノワールにくらべると、酸味がソフトで、ワインにふくらみがある。産地の特色の違いだ。優しく包み込んでくれるようなワインで、心が和んだ。ダックととてもよくあってくれた。
ソムリエさんがブラインドで飲んでみてと、ブルゴーニュ用の底が膨らんだグラスに赤ワインを注いで持ってきてくださった。相棒が即「イタリアワインだ。ネビオッロ」といった。当たり!どうしてと聞いたら、イタリアワインの香りがするという。なるほど。
暗くて、シトシトピッチャンの雨の中、友人とのディナー、ワインが心を温めてくれた。

2008年10月30日木曜日

将来が楽しみなサンタ・バーバラ


サンタ・バーバラ・カウンティのロス・アラモスにあるメルヴィルのヴァーナスヴィンヤードを訪れることになっていた。メルヴィルはサンタ・リタ・ヒルズという脚光を浴びている栽培地区にあるプレミアムワイナリーの一つだ。サンタ・マリアの町を出て州道101号線を南に走る。間もなく、ロス・アラモスという村の標識が見えて、左手にキャット・キャニヨンという道の標識に従って左折。待ち合わせの10時30分。インディアンサマーということでカリフォルニア州全体の気温があがっていた。10時30分だというのに真夏の暑さだ。左折するとすぐに後ろにSUVがついて来て追い越した。こんな田舎道を走る車はまれだ。運転手の顔がチラッと見えた。ブドウ畑を案内してくれることになっているステフェンだった。彼は私だと気づかないで追い越して、しばらくしてから気がついたらしくスピードを落とした。
ロス・アラモスはちょうどサンタ・マリア・ヴァレーとサンタ・リタ・ヒルズの真ん中に位置している。多分気候も真ん中当たりだろう。
101号線からは想像もつかない、広大なブドウ畑が砂丘を覆っている。ひとつはナパのサターホームがブドウ畑を所有、主にシャルドネを栽培。朝早くに摘んで、トラックでナパまで運ぶのだとか。もうひとつはホワイト・ホーク・ヴィンヤードというブドウ園だ。
10月中旬、まだ収穫中だ。明日摘む予定だというシラーのブドウ粒を噛んでみた。ナパのブドウと比べると甘さが感じられない。糖度は24度ブリックスというから十分に上がっている。甘さが感じられない理由は酸が多く含まれているからなのだ。驚いたことに土は砂地だ。丘陵地の低い箇所は沖積土だ。火山性の土壌はない。海底の断層が隆起して出来上がった土地だからだ。「ビーチみたいですね」と思わず言ってしまった。やせた土がブドウ栽培には適しているとはいっても、これだとあまりにも水はけが良すぎて栄養分も足りないだろう。
主にシラー(65%)そしてシャルドネ、ピノ・ノワール、少しのヴィオニエを植えていたけれど、おりからのピノ・ノワールブームで、ピノ・ノワールに変えている。今はピノ・ノワールとシャルドネがほぼ同じ率で、シラーは20%、ヴィオニエが15%だという。
約10年前にキャット・キャニヨンに100エーカーを買って、ヴァーナス・ヴィンヤードと名づけた。もちろん買ったときには砂丘で地にへばりつくような草が生えているだけだった。この地はドリップ・イリゲーションがなければ、何も栽培できないだろう。ドリップ・イリゲーションは1959年にイスラエルの砂漠での栽培のために開発された。ブドウ栽培はもとより農業界にとってはノーベル賞ものだと、サンタ・バーバラ・カウンティへ来てつくづく思う。
お金とアイデアと良いワインを造ろうというパッションを持った人たちがサンタ・バーバラ・カウンティにワイナリーをオープンし始めている。これから目が離せないエキサイティングなワイン産地になりそうだ。
詳細はニュースレターに書きます。

2008年10月23日木曜日

ハピー・キャニヨン


サンタ・バーバラ・カウンティはまだブドウを摘んでいた。北カリフォルニアより収穫が終わる時期が遅いので、驚いた。サンタ・バーバラ・ワイン・カントリーは冷涼な地区と思いがちだけれど、ブドウ栽培、ワイン生産の経験を積むに従って、気候の細分化が進み、温暖な地区と冷涼な地区とが明確に区別されている。
サンタ・イネズ・ヴァレーは温暖な地区なのだ。だからソーヴィニヨンとか、ボルドー系品種、シラーが植えられている。
映画「サイドウエイ」で主人公が女性二人と食事をする場面にロス・オリボスの洒落た小さな町のレストランが使われている。このレストランに入る前にピノ狂の主人公が「メルローなんか絶対に飲まない!」と言ったのが、話題になって、メルローの売上に響いたものだ。この町からサンタ・イネズという小さな町に沿って豪華な農場が並び、とってもきれいだ。サンタ・イネズ・ヴァレーにハピー・キャニヨンと呼ばれる地区がある。ここにあるブドウ畑、スター・レーンを朝8時に訪れた。朝だというのに、大きな太陽が強い日差しを注ぐ。確かに暑い地区だ。スター・レーンの畑は中途半端じゃない。山のてっぺんにきれいに手入れをされたブドウ畑がパッチワークのように広がる。この地区にもナパほどの数ではないけれど、資本が投入され始めている。詳細はニュースレターに書きたい。

2008年10月16日木曜日

セントラル・コーストの2つのワイン


11月中旬に東京と大阪でソムリエ協会主催のサンタ・バーバラ・カウンティのワインセミナーの講師をさせていただくことになっているので、1週間、サンタ・バーバラ・カウンティにいる。よく耳にするブドウ畑についてもある程度、土地勘がついた。道はナパのように混んでいないし、リラックスして走ることができるのが嬉しい。映画「サイドウエイ」以来、高い人気を持つピノ・ノワールが造られているサンタ・リタ・ヒルズとそこにある小さな街にもすっかり馴染んだ。サンタ・バーバラ・カウンティへ行く途中で海辺の町に住んでいる友人宅に寄った。イチジクを使ったラムの料理、アルグラとゴンゾーラチーズのサラダ、プチトマトにモッツレーラチーズをつめてバジルのみじん切りを飾った前菜を自ら料理してごちそうしてくれた。この料理にマッチすワインとして、近くのスーパーでセントラルコーストのシラーとソーヴィニヨン・ブランを買った。アロヨ・グランディにあるタリーはかんきつ類の香りと味が程よいシャルドネと派手さを抑えたピノ・ノワールを造るワイナリーとして知られている。ソーヴィニヨン・ブランはどうかなと思ったけれどなかなか美味しかった。シラーはパソロブレスにあるアデライダ。パソロブレスは温かい地区のジャミーなシラーの産地といわれているけれど、このワイナリーは、多分、高地に畑があるのだと思う。なぜなら十分に熟したブドウの味なのだけれど、程よい酸味がきちんと感じられたから。前菜にソーヴィニヨン・ブランはよくマッチ。香りがあまりないかなとふと思っていたのだけれど、空気に触れるにつれて、香りが立ってきたし、酸味にサポートされたフルーツの味が美味しく楽しいワインになってくれた。シラーもイチジクの入ったラムにぴったり。こちらも酸がきれい。女性の顔が印象的なラベル。
酸味が特色のワインを飲みにサンタ・バーバラ・ワインカントリーへ行く助走の楽しいディナー。

2008年10月11日土曜日

グラス一杯のワイン


このところ、ラジオもテレビも株式市場暴落のニュースと選挙のニュースばかりだ。アメリカの金融市場低落の影響が日本にもヨーロッパにも影響しているらしい。
不景気だから、やたら高くなったガソリンを買うのを控える市民が多くなったために、今度はガソリンの値が下がり始めている。ソノマの町にある唯一の洗車場は閑古鳥が泣いている。数ヶ月前までは、いつも長い列が出来ていたものだ。こういう暗いムードのときに、ワインを呑む人がいるのだろうか?ぜいたく品だからっていうので、ワインを控える人もいるかもしれない。
プラザにあるカフェに寄ってみた。ランチ時以外は、ここもがらんとしている。オーナーのジェイムズは晩秋から来年にかけて、カフェ&ワインバーにしたいと張り切っている。比較試飲できる小さなグラスが6個入るかわいいバスケットを目を輝かせて見せてくれた。「今日は朝の10時からワインのテイスティングをしてるんだ」とご機嫌。ボトルを2本手に持っていた。ひとつは値ごろ感が会って好きなタイプのオレゴンのピノ・ノワールだ。「あっ、ウイラケンジ、いいね」といったら、大振りのグラスを持ってきて、なみなみと注いでくれた。サワーチェリーキャンデーの味がして、3時のお茶時間帯に飲むのにぴったり。すきっ腹に飲んだから、全身にすばやく回って、ふわふわ気分。Willakenzieのワインは白も赤もグッドヴァリューだ。
ご機嫌でスーパーへ夕食の買い物に行く。たったグラス一杯のワインがとっても幸せな気持ちにしてくれた。不景気だからせめてワインでも飲んで気晴らししようよっていう感じかな。

2008年10月5日日曜日

ハーベスト、不景気、選挙



もう10月になった。ハーベストは終わりに近づいている。ローレル・グレンは10月1日(水曜日)に終了。とても短期間のハーベストだった。毎日車で通過する道沿いにあるブドウ畑(ケンウッド・ワイナリーの畑)は、例年だと、「わあ、まだ摘んでない」と思いつつ見るのだけれど、今年はローレル・グレンより先にブドウの房が消えていた。ローレル・グレンは山の中腹に畑がある。太平洋が近く、晩熟品種であるカベルネを栽培しているので、通常、摘む時期が遅いのだ。それが、今年はもう終わってしまった。道沿いの畑を見て気がついたのだけれど、早くにブドウを摘み取った畑のブドウ樹の葉はまだ青々としている。糖度があがったので、もう少し置いておきたいと思っても摘むしかなかったのかもしれない。
そして昨日と今日、雨が降った。
近所のブドウ畑の所有者は今週末に摘むといっていたけれど、雨で摘めなかっただろう。彼は小さなよく知られるワイナリーの醸造責任者なので、週末しか自分のワインを造れない。それに友達を呼んで摘むから、週末しか手伝いに来れないのだ。個人経営の小さなワイナリーならではの難しさだ。
アメリカの経済システムが破壊されそうな雰囲気で、不景気風が吹いている。ガソリンは高いし、失業率も高い。我が家の近所の通りに売り家の札が数件見られる。こんなのは20年以上、この土地に住んで初めてだ。この影響がワイナリーにも徐々に出てくるのだろうな。
かつてない高い視聴率だったという副大統領のテレビ討論を友人の家で見た。テレビにかじりつきの私のために友人の夫は料理をしては、わざわざ運んでくれるという親切さ。
このとき飲んだ2つのピノ・ノワールはとても美味しかった。
サンタ・バーバラ・カウンティ、サンタ・マリア・ヴァレーの
J.Wilkesとアンダーソン・ヴァレーのBreggoのピノ・ノワール。小さなワイナリーだ。どちらも涼しい地区のピノで、酸味がきれい。それでいて十分に熟したブドウの味がある。涼しい地区だから酸を保ちながら、ブドウが熟するのだろう。
不景気はブッシュ政権の責任だから、選挙は民主党に有利。でも初の黒人大統領をアメリカの市民は認めるのだろうか。カリフォルニア、そしてソノマはなんていったって、リベラルな人たちが多いから民主党候補のオバマが勝つ。彼はとてもハンサムだよね。頭もすごくいいしね。

2008年9月26日金曜日

ヴェジタリアンのレストラン




ナパのダウンタウンにubuntu(ウブンツ)という本格的なヴェジタリアン・レストランがある。金曜日の夜に行ったら、とても混んでいた。若い人から熟年まで客の年齢層は幅がある。ワインリストもとても充実していて、半端じゃない。
料理は野菜をいろいろ取り揃えて、きれいにお皿に盛ればいいと思っていたけれど、ここのシェフはそういうごまかし料理ではなく、一つ一つの材料を吟味して、一皿ずつ、料理法に工夫を凝らしている。だから一皿ごとに口当たり、味に変化をつけてある。でも精進料理ではない。バターやチーズをふんだんに使っている。自家製のモッツラーレチーズは最高だった。チーズは嫌いという女性が美味しいといってパクパクと食べた。ここで作られていると思うもっつらーれチーズはソフトでコクがあってとても美味しい。ヴェジタリアンだから卵、チーズは食べるのだ。

食材の多くはバイオダイナミックスで栽培しているこのレストラン所有の野菜畑から、それ以外は地元で栽培されている野菜を使用。
このレストランの料理を全体に把握しようというので、サマー・ガーデン・メニューとネーミングされてるコースをオーダー。お一人様$85。「嫌いな野菜がありますか?」トマトが大好きが3人、大嫌いが3人。コースの中でトマトが入っている料理は嫌いな人の皿は別の材料を使って出してくれる。サラダ、季節の野菜が、少しずつ盛られて出てくる。メロンをグリルして少し焦がして香りをつけたものが印象に残った。
帰りにハンバーガー店に寄らなきゃね、きっとまだお腹がすいてるよ、なんていっていたのだけれど、コースとコースの待ち時間が長いので、血糖値があがってしまって、コースの最後は、みんんなお腹が一杯になっていた。
ワインは女性のソムリエと相談してオー・ボン・クリマのサンタ・マリア・ヴァレーのピノノワールをオーダーした。チェリーキャンディのきれいな味と程よい酸味が印象的。生の野菜、料理した野菜、どんな野菜にもよくマッチしてくれた。
6種類の皿が出てきただろうか。そろそろフィナーレのメインデッシュが出てくるだろうと待っていた。出されたのは全てがニンジンの一皿。黄色、オレンジ、紫、赤のベビーキャロットが生だったり、ムースだったりして、きれいに盛られている。ニンジンが大好きなので美味しい美味しいと食べていたら、グループの一人が「ニンジンオンパレード。嫌いなニンジンをこんな風にして盛られてくるとは、夢にも思っていなかった」とポツリ。「もしこれをお母さん(奥様のこと)が家で出したら、食うなって言うことか!!ってテーブルをひっくり返す」というので大笑い。
でもシェフ、ジェレミー・フォックスの料理の感性はすばらしいということでみんな同感。肉や魚を使って料理するよりも、もっと工夫が必要だ。ジェレミー・フォックスはサンフランシスコのルビコン(閉店になってしまった)やチャールス・ノブ・ヒルといった有名レストランでシェフをしていた。野菜ひとつひとつがよく吟味されて使われていることがよくわかる。
デザートがとてもいい。ジェレミー・フォックスの妻、デニー・ヒックコックス(ルビコンで働いていたときに知り合った)がペストリーシェフを努めている。ズッキーニとオリーブ・オイルのケーキとバジルコのアイスクリームは絶品。
残念なのはコーヒーがとても苦いことだ。お茶をオーダーしたほうがいいと思う。

2008年9月17日水曜日

ワイン列車




数年ぶりにワイン列車に乗った。前と違っていたのは、ロビーで待っている間に2種類(シャルドネとロゼ)のワインがサービスされて、このワインについての説明があったことだ。ワインの説明をする人というのは、一般的にちょっと取り澄ましているか、優しそう(柔?)で品がいい、あるいは退屈!という感じなのだけれど、この男性は、どちらかというとバーでビールやウイスキーをがぶ飲みしてる、ちょっとハスキーな声の、喧嘩っ早い精悍な印象の若い男性だった。まじめに聞いている人が何人いるのだろうか。そのことを十分に承知しているようで、うまく話をまとめていた。
ラウンジ車に乗り込む。この列車で前菜を、その後、ダイニング車に移動してランチをいただいた。
私たちのグループの男性二人はブラディマリーを、女性はバシオ・ディヴィノ(Bacio Divino)のパッツオ(Pazzo)という赤ワインをオーダー。パッツオとはイタリア語でクレージーという意味だそうで、このワインのブレンドは変わっている。サンジョヴェーゼとカベルネ、それにジンファンデル、メルロー、ヴィオニエが少しずつ加えられている。フルーティで軽やか、飲みやすい。若いうちに飲むと楽しいワイン。この日のランチにぴったり。朝から女性がボトルで赤ワインをオーダーしたので、若い女性のウエイトレスさんは一瞬、意外!という表情をして、ちょっと尊敬してくれた様子。ブラディマリーはコショウとタバスコがものすごくきいていたようで、一人の男性はハンカチを取り出して汗を拭いた。その上、前菜に盛ってあった酢漬けのトウガラシを食べたら、とても辛かったようで、汗が吹き出て湯上りのような真っ赤な顔。笑いながらも、何もそんなに辛いものを出さなくてもと同情。
ダイニング車両に移って席に着く。列車で食べる料理としてはきちんと料理されていて、悪くなかった。スープかサラダ、メインはサーモン、ビーフ、ポークとそれぞれ違うものを注文。ワインはSEAVY のメルローをオーダー。このワインは列車の中では53ドル。フレームワークがきちんとしていて、十分熟したブドウの味わいなのだけれど、過熟ではなく、とてもよく出来たメルローだった。サーモン、ビーフ、ポークのどの皿にもマッチ。
のんびり食べて飲んで、いつもは車で走る道を社窓から眺めて3時間。

2008年9月14日日曜日

熱気球




日本からお客さんがいらして、一緒に熱気球に乗った。初めての経験。素晴らしいの一言。
朝、5時45分にナパのカジュアルレストランに集合。まだ暗い。そして寒い。手続きを終えて、用意されているパン、シリアル、バナナ、コーヒー、紅茶をいただく。でも3-4時間、トイレのないところへ行くので、飲み物は控えた。セーターにジャケットを着てもまだ寒い。日本からのお客様がカイロ?を持ってきていて、1枚下さったので、それを腰の位置に入れたら、とても温かかった。素晴らしいアイデア!この朝は、20人ほど集まっていた。人数が多い日で、2回に分けて飛ぶという。ナパは雲と霧が多く、飛ぶことが出来ないので、内陸の霧がない場所から飛ぶというので、ヴァンで45分ほどかけて移動。内陸は霧がかかっていないというのは本当で、ヴァンの中で居眠りをしていて、ふと外を見るとオレンジ色の朝日が昇りかけていた。ヴァンが5台ほど、先に着いていた。空高く浮いている熱気球は、地面から見るとそれほど大きいものとは思われない。でも実際に見るととても大きい。
準備中の熱気球はぺちゃんこの布の風船?の部分が平地に広げられている。そこへゴーっという音と共にタンクから赤い火を噴出し、熱風を注ぐ。やがて気球が膨らみ始める。十分に膨らむとふわっとう感じで気球が丸くなって浮いた。気球の下についている四角いボックス(籠?)に10人ずつ乗り込む。籠の間かはラッシュアワーの電車みたいに込み合っている。籠から操縦士が熱風を注入するために火をつけた赤いガスの炎が見える。ゴーっという音と共に気球が簡単にするすると上昇した。高さが305mほどまで上昇したときにガスを止めた。とても静かだ。果樹園や川や森や遠くの山が見下ろす。揺れもせず気持ちがいい。高度恐怖症気味の人は下を見ると怖いといっていた。私と友人が下を覗き込んで見るのさえも怖がった。
苗木を育てている農園の畑は四角い絨毯のパッチワークみたいに見える。海岸沿いのブドウ栽培地区を離れているので、ブドウ畑よりもアーモンドや果樹園、牧草地帯が多い。サービス精神たっぷりの50代(に見えた)のパイロットは木の枝に手が届くところまで下降してくれた。この会社から5つの熱気球が飛んだので、他の気球が高くなったり低くなったりしながら飛ぶのが見える。他の会社の模様と色が違う気球も飛んでいた。広大な景色に向こうに気球がぽつんと見えるかと思うと、私たちが乗っている気球の陰が下に見えたり、他の気球が追いついてきてたりする。
1時間ほど乗っただろうか。着陸することになった。着陸時はパイロットのほうを向いて、籠の内部の側面についている手すりにつかまってひざを少し曲げるようにという指示を受けた。そろそろ降りるかなと思っていたら、なんだなんだ着地するはずの茶色の空き地を通り過ぎてトウモロコシ畑のほうへ行ってしまうではないか。着陸をミスったのだ。後ろに来ていた気球は予定地に着陸。私たちの気球は再び上昇して次の着陸地へ向かう。家畜用の牧草を刈り取って地面に干してある牧草地に着陸。衝動は全然なくてやわらかくふわりと地上に着いた。
迎えのヴァンが先に来て待っていた。これから希求に乗る人たちがヴァンから降りて、並んで待っている。一度に全員降りると気球が浮いてしまうので、2人降りて2人乗るというのを繰り返して乗客10人の交代が終了。ふわっと空に向って上昇していった。私たちはヴァンに乗ってナパの集合地まで帰った。朝の9時。ナパに近づくと霧がかかっていて太陽が見えない。用意されていた朝食、いり卵、ソーセージ、ベーコン、パンケーキ、スイカとメロン、コーヒー。紅茶、オレンジジュース、シャンパンをいただく。今朝は4時起きだったからお腹がすいていた。地元に住んでいると、わざわざ早起きして熱気球に乗ろうなんて考えないから、今回、お客さんと一緒に熱気球を体験できて楽しかった。乗っている時間より、待ち時間と移動時間のほうが長いのが、ちょっと難。お昼ころになると真っ青な空と強い日差しが照りつけた。小1時間で、これほど天気が違うのだということを実感。

2008年9月12日金曜日

ハーベスト



私がサンタ・バーバラ・ワインカントリーへ行っていたとき、ソノマ、ナパはすごい暑さだったという。春先の霜のあと、気温は安定していた.昨年の冬の降雨量が少なかったことから、房の数が少ない畑もあるけれど、順調に成長していた。それが突然の猛暑に襲われて、ブドウの糖度が急に上昇。あまり暑いとブドウが干からびてレーズンみたいになってしまうし、糖度が高くなりすぎるとワインにしたときに味に影響を与える。というわけで、ブドウを摘み取る作業を急ぐことになる。
サンタ・バーバラから帰ってきたら、近所のブドウ畑のピノ・ノワールとシラーの房が消えていた。摘み取り作業が終わったのだ。
昨日辺りから、朝は霧がかかり、正午に太陽が顔を出す気候パターンに戻り、気温も例年通りになっている。日差しはまだ強いけれど、木陰に入ると、ほんの少しひんやりとした風が秋が近づいてきたことを感じさせてくれる。
カベルネ・ソーヴィニヨンは遅くに熟するブドウなので、よほどの暖かい地区以外は、まだ待っている。例えばローレル・グレンは比較的涼しい山の中腹にあるので、糖度が急激に上昇したけれど、まだ摘む時期にはなっていない。それでも予測したより早まりそうだという。
この40度近い温度の中、ブドウの収穫をするのは大変だ。セントラル・ヴァレーでブドウではなくて他の果物を収穫していた17歳の妊婦が熱射病で急死した。畑で作業する労働者を保護する法律があるのだけれど、それが守られていなかったのだ。この女性の他にも畑作業をする労働者が熱射病で死亡した例があることから、政府はこの法律を徹底させるために畑仕事の作業員の労働環境をチェックし始めている。
だからブドウ畑の収穫が始めるとピッカーたちの車、そして日よけ用のテントが張られているのが見られる。脱水症状を起こす前に水分を十分に供給すること、息切れやめまいを感じたら、すぐにテントで休養すること等、作業員の認識を徹底させる等の対策を強化している。この法律に違反すると、使用者は罰金を徴収される。
道路は積んだブドウを載せたトラックがゆっくりと走っている。その後ろに追い越しをかけられない車がぞろぞろと行列を作る。
カリフォルニアのワインカントリーはハーベスト真っ最中。

2008年9月10日水曜日

サンタ・バーバラ・ワインカントリーその2



ベージュ色の小高い山と砂地が続く、サンタ・マリア・ヴァレー。潅水設備がなければ何も栽培することが出来ない土地。この土地にオーボン・クリマとキューペがある。有名ブドウ栽培農場、ビエン・ナシドのブドウ畑の中を通過して、倉庫のような建物の前に着く。午前11時30分。発酵タンクやプレスが建物の横の広場に並んでいることから、ワイナリーだなと想像する。
ここでいつものようにジム・クレンデネン氏がせっせと料理をしていた。彼の料理は半端じゃない。毎日、ピクニック・テーブルにビニールのテーブルクロスをかけたテーブルをカジュアルランチに招かれたゲストが囲む。そして彼のワイン、招かれた客が持参したワイン等がずらりと並ぶ。
今日のメニューはシーザーサラダ(アンチョビを使ったドレッシングは本格的)、彼が育てたトマトとモッツレーラチーズのサラダ(トマトは豊作なようで、脇の棚にどっさりと置いてあった)グリルしたビーフの薄切り、キーシ。お腹が一杯になったので私はスキップしたけれど、デザートも用意してあった。この日は全部で20人がランチを楽しんでいた。
同じ建物でワインを造っているキューぺのボブもやってきた。
2006年のイザベル、2004年ヒルデガード、2007年クレンデネン・ファミリーのギヴェルツトラミーナ。ヒルデガードはアリゴテ、ピノ・グリ、ピノ・ブランをブレンドしたユニークな白ワインだ。ミネラル、アーモンドほど良い酸味がする、力強い白ワインだ。ジムのお嬢さんの名前をつけたイザベルはフルーティで、お嬢さんのように若々しくてきれいなワインだ。キューぺ(Qupe)の2007年ビエン・ナシド・クヴェ(Bien Nacido Cuvee)と名づけた白ワインは香り豊かで酸味が程よく素敵なワインだった。ヴィオニエ(67%)とシャルドネ(33%)のブレンドだという。
今年で3年目になるというインターンみたいな男性がいた。ロスアンゼルスのSONAというレストランのソムリエだそうで、ただハーベストをで手伝っている(修業している)という。自分のラベルでもワインを造っている。LA FENETRE(窓というフランス語)というラベルだそうだ。2008年は3000ケース造ったというから、結構の数量だ。シャルドネ、ピノ・ノワール、シラー、カベルネを造っているとのこと。奥様は日本人だといっていた。じゃあと写真を撮ったら、「うまく撮れたかい?」と聞くところがアメリカ人じゃなくて、フランス人かな。
今年の春先の霜による害はミニマムだそうで、収穫量は十分とジムが言っていた。

2008年9月8日月曜日

サンタ・バーバラ・ワインカントリー その1



 仕事でサンタ・バーバラのワインカントリーへ行ってきた。そう映画「サイドウエイ」の舞台となったワイン産地だ。で、ピノ・ノワールブームを巻き起こした。この地区はピノ・ノワール、シャルドネ、そしてシラーが有望だと私は思っている。もちろん、良質のソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリや、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンといったワインも造られているけれど、数から言ったら、やはり上に書いた3種類だと思う。
ワインの質のレベルが全体に大きく上がっていた。プレミアムワイナリーは各ワイナリーのスタイルを確立し始めている。
海からの影響を強く受けるので、早い時期に熟するブドウが主なのだけれど、それでも収穫が、ようやく始まったという時期だった。ナパやソノマのもう少し温暖な栽培地区では、早熟品種の収穫は始まっている。
まだまだサイドウエイの影響が残っている。映画のシーンでアメリカインディアン風の衣装を来た男性がバラックみたいなテイスティングルームでワインを注いでくれたら主人公のマイルズはワインお宅そのものといった感じで香りを嗅いで、あれこれ薀蓄を述べているときに、彼の友人(売れない俳優)がガムを噛みながらワインをごくりと飲み込んだシーンがあった。そのシーンでテイスティングに使われたのが、昔のサンフォード、今のアルマ・ロサ・ワイナリー(Alma Rosa)だ。アメリカインディアンの衣装を着た人物が、実際にそこで働いているのだ。ずうっと昔、ここへテイスティングに来たことがある。服装が独特だったこととあばら家風のテイスティングルームだったことからよく覚えている。
今も、その男性は(クリスという名前)このテイスティングルームで働いている。ちょっと垢抜けた感じ。「サイドウエイの映画ヒット以来、いろんなマスコミがあなたの写真を撮りにやってきたでしょう?」と聞いたら、「イエス」、「私も写真を撮ってももいい?」「もちろん」というわけで、なれた感じでカメラに収まってくれた。
ワインのほうはピノ・グリが良かった。どのワインもエレガント(繊細)で辛口。大人の味のワインだった。約束の時間に30分遅れて駆けつけたら、待っていてくれた素敵な女性キャロリンがここでは遅れてくることはちっともいけないことじゃないのよとリラックスした態度でいう。こういう自然体でワインにかかわる人たちが減ってきているので、ほっとしたと同時に昔のナパやソノマを懐かしく思い出した。

2008年9月5日金曜日

恒例の集まり



12年前に東京へ行ったワイナリーのグループが、いまだに年に一度集まって、ディナーを共にする。
こういう例はとても珍しいのだけれど、一緒に旅をしたワイナリーのメンバーはとても気があうのだ。ロイヤルパークホテルで開催された100人を超える参加者が集まってのワインメーカーズディナーがいい思い出になっているのだ。参加メンバーはカレラ(Calera)のジョシュ、スポッツウッド(Spottswood)のベス&ジョン、ノール(Nalle)のダグ&リー、それに相棒と娘と私。
みんな日本食が大好き。毎年持ち回りで各家に集まってディナーをするのだけれど、必ずスシを前菜に会食が始まる。
今年はノールのダグとリーの家で開かれた。収穫が明日から始まるという夜なので、10時に食事を終えた。今年のブドウの出来については、「素晴らしい年だ」という声は聞かれない。「悪くない。今のところいいようだ」という声
春先の霜で収穫量が減ったワイナリーも少なくない。例えばカレラは収穫量が例年の半分ほどになってしまったという。
このところ猛暑が続いている。4時に集合。まだ暑いからというのでロシアンリヴァーの川岸でお寿司とシャンパンで乾杯。スポッツウッドが従業員用に作っているというロゼ(レイク・カウンタィのグルナッシュとパソロブレスのシラーのブレンド)の冷えたのを飲む。12年前は子供がいなかったベスとジョンは今9歳と6歳の男の子がいる。家族4人、勇んで川に入ったけれど水がとても冷たくて、子供と犬以外は震え上がって川岸へ戻る。
5時ころにダグのトラックの荷台に腰掛けて(10分ほどしかかからない)、ダグの家に戻った。彼たちの家のテラスから見えるのは見渡す限りブドウ畑だ。ちょうど夕日がブドウ畑の向こうの山に沈み始めた。素晴らしい。「12月になると、この先に夕日が落ちるんだよ」とちょうどテラスの真ん中にあたる畝を指をさす。リーが「朝、コーヒーを飲みながらの見るブドウ畑もいいわよ」とリー。そうだろうなあ。
今夜のメニューはリーがこの朝ヒールズバーグの朝市に行って仕入れてきた新鮮な野菜、サーモン、それからダグの息子が買ってきたコーベビーフ。
ジョシュがスポッツウッドの秘密のワインを見つけたといって、笑いながらテーブルに並べたワインはスパイスウッディ(Spicewoody)というテキサスのワイン。ソーヴィニヨン・ブランをオープン。シャープな酸味が主な味という白ワイン。相棒が「これは胃薬がいる」というとみんな同感。スパイスウッドのワインは即、消えた。ジョシュのジョークだ。
1990年のセレックのマグナムをオープン。スパイシーでまだ若々しい。気品さえ感じる。ダグが1990年のマグナムのキヴェラのジンファンデルをオープン。彼が最後に醸造責任者として造ったワインだ。ジンファンデルらしいベリー、そそして急激に酸化していった。2004年のノールのシャルドネとジンファンデルもオープン。オークが抑えられたきりっとして素晴らしいシャルドネ。2004年のジンファンデルはダグが造ったジンファンデルではベストかな。フルーティでボディもあって美味しかった。
10時近くになって、夜空は星が一杯。今年も楽しい集まりだった。いつもの合言葉は「また一緒に日本に行きたいね」。ジョシュはその後数度日本に行っている。ノールもその後一度行ったけれど、ベスは子供が小さくて行けなかった。彼女は本当に行きたそうだ。

2008年9月1日月曜日

Murphy's Irish Pub



ソノマのプラザに面する映画館「セバスチアーニ」の横の石畳の小路を入っていくと小さなアイリッシュ・パブがある。ローカルが集まる場所だ。
毎週金曜日にブルーグラスの生演奏がある。私の女友人の一人、ジェニーが1ヶ月に一度ほど、ここへ来て演奏する。男性二人とジェニーで作っているバンドだ。ジェニーは病院の化学分析を担当する科学者だけれど、ピアノ、ギター、ドラムを演奏するし、そして歌う。
私と圭子さんとアンドリアは自称グルーピー(追っかけ?)で、彼女のバンドがマーフィーにやってくると必ず一番前の席を取って聴き入る。この夜はメンバーの一人が急用で来られなくなったので、二人だけで演奏。
アイリッシュ・ビールがたくさんリストに載っている。パブなのだからビールを飲みながら演奏にを楽しむ人がほとんど。でも私はワイン、圭子さんはアイリッシュコーヒー、アンドリアはオンザロックのウイスキーを飲む。
ワインカントリーのパブなので、地元、ソノマ・ヴァレーのワインもリストにきちんと載っているのだけれど、一人でボトルをオーダーしても飲みきれないから、グラスで飲むことになる。たいがい、バイザグラスのリストから白ならBenzigerのソーヴィニヨン・ブラン、赤ならClineのピノ・ノワールをオーダーする。Benzigerのソーヴィニヨン・ブランは最近スタイルがちょっと変わって 前よりも軽やかで酸味の利いたタイプになっている。Clineのピノ・ノワールは、ピノ・ノワールらしいチェリーの味わいがちょっとだけあって、悪くないなという感じでちょびちょびと飲む。
この夜は、グラスで3杯飲んだ。アンドリアもウイスキーを3杯。後でメールが入った。「エミコはワインだからいいけれど、ウイスキー3倍の私は二日酔いだわ」
知ってるミュージシャンの演奏を聴き行くのは、とっても楽しい。

2008年8月28日木曜日

Bottle Shock



ワイン業界に働く女性たちで組織されているWomen for WineSenseというグループが主催したボトル・ショックという映画の試写会に出席した。試写会はソノマのプラザにある映画館セバスチアーニで上映された。この映画館はバックツーザフユーチャー1の映画の場面に使われている。
ハリウッド的要素にソノマとナパのワインカントリーを加えた映画だ。ナパ・ヴァレーのカリストガにあるシャトー・モンテレーナの父親と息子が主人公。1976年にパリで行われたスティーヴン・スプリエー主催のカリフォルニアワインとフランスワインのブラインドテイスティングでシャトー・モンテレーナのシャルドネが白ワインのカテゴリーでブルゴーニュの白を抜いて1位になった話を元にストーリ-が展開される。
このティスティングのシーンはジョージ・テイバー(唯一このテイスティングに取材に入っていた記者)が書いたThe Judgment of Paris (日本でも訳されて出版されていると聞いた)のテイスティングの場面を借りている。映画でこの記者役でちょっと顔を出しているのはソノマのパートタイムの俳優さん、(内緒だけれどあんまりハンサムじゃない!!)
父親はビル・プルマン(説得力のある演技をする俳優さんですね)、サーファーの息子はクリス・パイン(一緒に行った娘は「キュート、これから人気が出そう」といっていた)。スプリエーはアラン・リックマンが演じている。(実物のスプリエー氏はもっと若いし、イギリス人だから、ちょっとイメージが違うけれど、味のあるワイン商を演じている) この映画で描かれているスプリエー氏に対して、実物のスプリエー氏が不快感を示して、訴えるといってるとか。映画だもの見過ごしてほしいですね。
パリのブラインドテイスティングではスタッグス・リープ・ワインセラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンもフランスのボルドーを抜いてトップになった。でもこの映画ではシャルドネにだけスポットを当てている。ドキュメンタリーではないので、正確に事実に沿っているわけではないからだ。
あっ、この場面はあそこだとか、あのワイナリーだとかいうのが頭にあって、ストーリーは二の次になっていたので、もう一度見なければ、いい映画かどうかは決められない。
サンタ・バーバラのワインカントリーを舞台にしたサイドウエイという映画が大ヒットしたことは、ご存知だと思う。この映画も試写会に行って見ることが出来た。このときは主役、監督,プロデューサーが出席して、質問を受けていたけれど、ボトル・ショックはソノマに拠点を置くプロデューサーだけが出席。残念ながら俳優さん(特にボー役の俳優さんに会いたかった)は、だれも来ていなかった。このときも、試写会の後ではワインギーク(ワインお宅)には受けるけれど、一般の人が面白いと思うかどうかとても疑問だというのが感想だった。それがなんとすごい話題になって、今でもサンタ・バーバラ・ワインカントリーはツーリストのメッカだし、カリフォルニアのピノ・ノワールは売り切れという現象が起こっている。
それと同じことが起きるかどうか。期待したい。
パリの場面も含めてすべてのシーンがソノマとナパで撮影されている。テイスティングの場面はKundeというケンウッドにあるワイナリーのブドウ畑にある古い建物だし、シャトー・モンテレーナのワイナリーはブエナビスタ、畑の場面はカーネロス地区、パリの街のシーンはソノマのプラザのコーナーという具合だ。
プロデューサーは日本にもこの映画を売る交渉中と言っていたから、日本でも上映される日が遠くないだろう。
ストーリーやボーとブロンドのインターン(ハイジー・バーレット)の話などはニュースレターに詳細を書きます。

2008年8月22日金曜日

久しぶりの家族団らん



タイの後、相棒は台湾、シンガポールで数日ずつ過ごして、私たちより一足先にソノマに帰っていた。私と娘は札幌での時間を思う存分に楽しんでソノマに帰り着いた。
ソノマはあちこちで山火事が発生して、太陽がかすんで見えなかった状態が改善されて、ソノマらしい青空が私たちを迎えてくれた。我が家の近くのブドウ畑のブドウ粒たちはもう色づきが始まっていた。
スパークリングワインの収穫は始まったという。
私の2008年の目の回るような夏は終わり。ブドウの熟し具合は順調。収穫期まであと一息。
裏庭で久しぶりに家族のディナー。シンプルにグリルしたニューヨークステーキとオリーブオイルと塩、コショウをまぶしたなすび、赤ピーマン、ベビーレッドオニオンもさっとグリル。それにグリーンサラダとシンプルなメニュー。娘の高校時代のクラスメート、ブリジットが飛び入り。相棒の大学の後輩なのだ。世の中って面白いよね。娘の同級生がソノマからロサンゼルスの大学まで行ったのだから。
ブリジットは大学を卒業して、ケンウッドにあるカンディ・エステート(Kunde Estate)というワイナリーのテイスティングルームのアシスタントマネージャーとして働いている。大きなブルーの瞳を囲む長いまつげが瞬きをすると重そうにふわふわと揺れる。エネルギー一杯で、テイスティングルームを若々しく楽しい場に変えてしまう。ワインについて勉強中で、彼女の知識がどんどんと増えていくのが会うたびに感じられて頼もしい。
ブリジットが持ってきてくれたカンディのソーヴィニヨン・ブランで乾杯。サラダを食べる。ドレッシングの酢を抑え気味にしたので、ワインとよくマッチ。カンディのマグノリアレーンMagnolia Laneのソーヴィニヨンブランは16ドルほどだ。酸味が利いていてフレッシュで飲みやすくて美味しい。暑かった一日を終えて、夕日を眺めながらディナーを始めるときの、最初のワインにぴったり。
グリルした野菜とニューヨークステーキにはパラレル(Parellel Estate)をオープン。8人の仲間が集まって造った小さなワイナリーのワイン。白地に黒の線が走っているユニークなラベルは、スキー仲間でもあるオーナーたちのシンボルで、早朝でまだ誰も滑っていないスキー場の斜面を初滑りしたときに描かれる線をイメージしているのだとか。フィリペ・メルカが造っている。価格は55ドル。決して安いワインではないから美味しくて当たり前。きれいにキチンと造られている。ナパらしいカシス、黒系フルーツが豊かな華やかなカベルネ。程よい深みとボディ。簡単に好きになってしまうタイプの美味しいカベルネ・ソーヴィニヨン。カリフォルニアに帰ってきたなあと実感。

Bottle Shock



ワイン業界に働く女性たちで組織されているWomen for WineSenseというグループが主催したボトル・ショックという映画の試写会に出席した。試写会はソノマのプラザにある映画館セバスチアーニで上映された。この映画館はバックツーザフユーチャー1の映画の場面に使われている。
ハリウッド的要素にソノマとナパのワインカントリーを加えた映画だ。ナパ・ヴァレーのカリストガにあるシャトー・モンテレーナの父親と息子が主人公。1976年にパリで行われたスティーヴン・スプリエー主催のカリフォルニアワインとフランスワインのブラインドテイスティングでシャトー・モンテレーナのシャルドネが白ワインのカテゴリーでブルゴーニュの白を抜いて1位になった話を元にストーリ-が展開される。
このティスティングのシーンはジョージ・テイバー(唯一このテイスティングに取材に入っていた記者)が書いたThe Judgment of Paris (日本でも訳されて出版されていると聞いた)のテイスティングの場面を借りている。映画でこの記者役でちょっと顔を出しているのはソノマのパートタイムの俳優さん、(内緒だけれどあんまりハンサムじゃない!!)
父親はビル・プルマン(説得力のある演技をする俳優さんですね)、サーファーの息子はクリス・パイン(一緒に行った娘は「キュート、これから人気が出そう」といっていた)。スプリエーはアラン・リックマンが演じている。(実物のスプリエー氏はもっと若いし、イギリス人だから、ちょっとイメージが違うけれど、味のあるワイン商を演じている) この映画で描かれているスプリエー氏に対して、実物のスプリエー氏が不快感を示して、訴えるといってるとか。映画だもの見過ごしてほしいですね。
パリのブラインドテイスティングではスタッグス・リープ・ワインセラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンもフランスのボルドーを抜いてトップになった。でもこの映画ではシャルドネにだけスポットを当てている。ドキュメンタリーではないので、正確に事実に沿っているわけではないからだ。
あっ、この場面はあそこだとか、あのワイナリーだとかいうのが頭にあって、ストーリーは二の次になっていたので、もう一度見なければ、いい映画かどうかは決められない。
サンタ・バーバラのワインカントリーを舞台にしたサイドウエイという映画が大ヒットしたことは、ご存知だと思う。この映画も試写会に行って見ることが出来た。このときは主役、監督,プロデューサーが出席して、質問を受けていたけれど、ボトル・ショックはソノマに拠点を置くプロデューサーだけが出席。残念ながら俳優さん(特にボー役の俳優さんに会いたかった)は、だれも来ていなかった。このときも、試写会の後ではワインギーク(ワインお宅)には受けるけれど、一般の人が面白いと思うかどうかとても疑問だというのが感想だった。それがなんとすごい話題になって、今でもサンタ・バーバラ・ワインカントリーはツーリストのメッカだし、カリフォルニアのピノ・ノワールは売り切れという現象が起こっている。
それと同じことが起きるかどうか。期待したい。
パリの場面も含めてすべてのシーンがソノマとナパで撮影されている。テイスティングの場面はKundeというケンウッドにあるワイナリーのブドウ畑にある古い建物だし、シャトー・モンテレーナのワイナリーはブエナビスタ、畑の場面はカーネロス地区、パリの街のシーンはソノマのプラザのコーナーという具合だ。
プロデューサーは日本にもこの映画を売る交渉中と言っていたから、日本でも上映される日が遠くないだろう。
ストーリーやボーとブロンドのインターン(ハイジー・バーレット)の話などはニュースレターに詳細を書きます。

2008年7月27日日曜日

娘のスパゲティ&レッズ



実家に来て、数日が過ぎて、ようやく両親のリズムになれた。父親は90歳、母親は88歳。老いには勝てないけれど、せっせと野菜を育てて二人だけで暮らしている。父はまだ車の運転をしている。来年の2月の誕生日に免許の更新をしなければならない。もう、無理だろうと観念しているようだ。自由が奪われるわけだから、無念だろうなあ。
娘が採れたてのトマトをたっぷりと使ったミートソースのスパゲティを作った。父親譲りで(母親ではないのです)料理がうまい。本格的なミートソースを作って、両親を喜ばせた。両親のハウスワインは、娘の父親が造る赤ワイン、レッズ(Laurel Glen Winery Reds)。このワインを料理にも使って、残りはスパゲティと一緒に楽しんだ。
最近、食が細くなってしまった母親も、張り切ってたくさん食べた。
翌日は料理下手の名誉をちょうだいしている、私が、一応、和食を作った。両親はまずいともおいしいともいわず、神妙な表情で、もくもくと食べた。
二人の料理に刺激された父がテレビを見て覚えたチキン料理を作ると宣言。張り切って作ってくれたので、驚いた。これがまたおいしかった。
ワインはアンジェリン(Angeline)のシャルドネ。オークの香りが強くなく、程よいフルーツの味があって、チキンにとってもよくマッチしていた。母はグラスに半分程度。残りは3人で、楽しく飲み干した。こういう幸せな場面をあと何年、何回持てるのだろうか。