久しぶりにナパへ行く機会があった。この週は暑い日々が続いて、外へ出ると強い日差しがぴりぴりと肌を焦がすのがわかる。日本では男性用日傘も売り出されているようだけれど、ナパで日傘をさす勇気はまだない。いいことなのだけれど、なんだか弱々しいというイメージを勝手に自分に対して抱いてしまうからだ。
8月21日、ホール・ワイナリーへ立ち寄ったら、最初のソーヴィニヨン・ブランを摘んだといっていた。担当の女性が「ブドウが音をたてて熟している」と表現していた。
収穫時期が今年は早いというワイナリーと例年通りというワイナリーがあって、畑によってまちまちだけれど、全体の印象としては収穫時期が早いような気がする。春から夏にかけて気温が安定して、ブドウは順調に生育し、熟してきた。8月中旬、1週間ほど高気温が続いたので、糖度が急激に上がり、畑によっては収穫が早まったということなのだろう。いよいよ2007年ヴィンテージの始まりだ!
先週は気温が27,8度と落ち着いていてのだが、今週は32度を超える日々が続きそうだ。もう少し熟したらいいと思っていた畑はこの気温ににっこり。逆にナパの温かい畑は、これでいよいよ収穫が早まるなというのが実感だろう。
ナパのワイナリーを訪れていて感じたことは、オーキーなタイプのシャルドネから酸味が利いたタイプへ、そしてライプスタイル、プルーンの味がするような過熟ブドウから造られたワインのスタイルから、もう少しトーンを落としたスタイルへと変化が生じているということだ。
例えばシェイファーのシャルドネ。これまでもカーネロス地区のブドウがもつ特色を生かして、かんきつ類系のきれいで華やかな香りと酸味を生かすためにマロラクティック発酵をしていなかったけれど、それに酸味を強調し、より長くフレッシュさをキープするために100%の樽発酵から小型の樽の形をしたステンレスの樽での発酵もミックスするように変えていた。新樽(50%)、1年使った樽(30%)、ステンレスの小型の樽(20%)という割合だという。
オークの香りが強く、バタリーでトロピカルフルーツの味わいがあるシャルドネが、多数だったのだが、カリフォルニアのシャルドネのスタイルのチェンジが確実に始まっている。
赤ワインのスタイルの変化の例としてはコングスガードの2005年のシラー、カベルネ・ソーヴィニヨン。2004年に比べると2005年はブドウの熟し具合のトーンが落ち着いている。やや涼しかった2005年の自然が与えてくれた原料ブドウを生かして、エレガントさを強調したワインに仕上げてあった。コングスガード氏はこのタイプのワインのほうが好きだという。また白ワインも酸味を残すために、以前に比べると糖度が少し低い時点で摘んだという。
あるワイナリーのオーナーは、2005年の彼の赤ワインは過熟じゃなく、引き締まっていることに関して、「プレスがどう言うかな」と少し気になる様子だった。
1997年のワインは糖度が上がったことから、それまでのワインに比べるとライプでジャミーなものが多くなった。醸造家たちはそのことを心配したのだが、ワインプレスが絶賛したことから、より熟した(時には過熟)ブドウを使ったタイプのワイン造りを続けるワイナリーが増えていった。そのことを思い出して、このオーナー氏は言ったのかもしれない。
今後、ヴィンテージによっては、ジャミーでライプなワインが生まれることがあるだろうが、意識的にハングタイムを長くして、極限まで糖度をあげてから収穫して造るワイナリーは少なくなるだろう。
2007年の夏はあっという間に過ぎてしまった。そしてハーベストシーズンだ。このまま順調にハーベストが終わりますように!
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