2008年6月17日火曜日

プラハでワイン、ビール、そしてアブサン



プラハの2夜目、ホテルから5軒ほど隣にあるビアホールへ行った。1499年からオープン、700年の伝統があるという店だ。ドイツと似てる。ソーセージに黒ビール。この日からプラハで3週間の夏期講座を受けていた娘が合流。アコーディオンに合わせて楽しそうに歌を歌っている4人組を見て、「笑顔を見せてるプラハの人間を見るのは珍しい」といった。音がものすごく外れているのを、ものともせず、大声で歌っている。隣のテーブルのカップルが、声をかけてきた。二人はスペインから来たのだそうだ。そのとき、アコーディオンが曲名は忘れてしまったけれど、若かりし日にマドリッドの公園を歩いているときにかかっていた、その当時流行っていた曲をひいた。スペイン人のカップルと話しているときに、この曲が流れて、なんだか感動した。音楽っていいよね。
ワインバーへ寄った。チェコのワインをオーダー。白ワイン、特にリースリングは悪くない。でもカリフォルニアに、もし入っていたとしても(もちろん入っていない)、探してでも飲みたいという質のものではなくて、地元で飲むのに十分というワインだった。赤ワインはフルーツ味に欠けていて、それを補う他の味わいはあまりなかった。
お腹がいっぱいで、ひんやりした空気を頬に感じながら、ホテルへ向かって歩いていたら、ホテルから3軒目のところに、コーヒーショップ風の店があった。まだ開いている。相棒がここでアブサンを飲ませているという。Absinthe Time Cafe Club Bar という看板がかかっている。サンフランシスコの雑誌の副編集長をしている友人が、カリフォルニア(アメリカ?)でアブサンの輸入解禁になって、そのプレスインタビューにいって来たと話していたのを思い出した。「入ってみようよ」家族3人で入る。チェコ語で書かれてるので、よくわからないのだけれど、アブサンのいろんなメニューが載っている。3人、別なのをオーダー。ひとつはきれいなブルー。二つは無色。サービスの女性がテーブルの上にトレーを置いて、角砂糖をアブサンが入ったグラスに入れて、ぱっと火をつけた。アルコール度が60%とあるから、火がついても不思議ではない。グラスから炎があがり、幻想的。もう一個の角砂糖をアブサンのグラスに入れて湿らせて、お皿に置いた。火を消して、グラスを渡してくれた。隣のテーブルの2カップルがじっと見ている。そして「グッド・ラック」といった。飲むとあまりおいしいものではない。味もあまりない。ただ喉から胃までアルコールが通過したあとひりひりとした。そんな私たちをみて、隣の2カップルもピンク色をしたアブサンの飲み物をオーダーして、こっちをみてにっこり。
悪酔いをしてもホテルまでは、近いから這ってでも帰ることができると思っていたので心配なし。
良い心地はとてもいいものだった。「アブサンて飲みすぎると幻覚症状が出るって聞いたことがあるけれど、何か見える?」と娘。「全然」と私。楽しい晴れやかな気分になっていることは確かだ。3人でげらげら笑いながらホテルへ着いた。
翌日、悪酔いの気分は全くない。小さなグラス一杯なら、楽しい気分を味わうことができて、酔いが翌日まで残らないということがわかった。まさかプラハでアブサンの初飲みを体験するとは思ってもいなかったけれど、楽しい旅の思い出。
明日から、オーストリア、ドイツ、ハンガリーを車で回る。

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