2008年6月20日金曜日
Graz (グラッツ)
チェコからハンガリーのブダペストへ向けて出発。途中、オーストリアのグラッツという町で一泊。町の広場には立派な彫刻を施した噴水があって、威厳と優美さが交じり合ったがっしりとした建物が並ぶ。毎日、曇り日、ときどき雨が降る。気温は10度前後。ソノマの冬だ。セーターを持ってこなかったのを悔やむ。でもその気候せいで木々も野原もみずみずしい緑色。
薄ら寒い町を散策後、遅い夕食をとるために9時にレストランへ入る。室内はタバコの煙でむんむん。金髪で目が細めで真っ白な肌の青年ウエーター氏が、まずフランス語で私に話しかけたので、「ノースモーキングがいいのですが」といったら、ぱっと流暢な英語に切り替えて「禁煙席があります」といった。でもこの狭い部屋なら禁煙席まで煙が襲ってくるなあと考えていたら、「別室がありますから」という。喫煙オーケーのレストランの室内を抜けて廊下を歩いて、別室へ案内してくれた。私たち3人だけで、他のテーブルは空席。薄い黄色をベースにしたエレガントな室内。タピストリー、自然派の絵画が壁に飾られている。黄色のテーブルクロスに鉄で作られた小型のキャンドルスタンド。ウエイター氏がキャンドルをともしてくれた。「貸切のレストランだわね」と娘と二人ではしゃぐ。
料理は上品な味付けで食材も新鮮。じっくりと煮込んだ肉料理はとてもおいしかった。サラダのドレッシングはこの地区独特で、パンプキンシードオイルとアップルサイダービネガー。どちらもこの地区で作っているそうだ。地区の名前はSteierと聞こえた。サラダに使われていた小豆色の大きな豆は「英語に訳するとビートルズビーンズです。オーストリア独特の豆です」と教えてくれた。
オーストリアの白ワインというとグルーナー・フェルトナーが良く知られている。でもウエイター氏がブラインドで試飲すると、グリューナー・フェルトナーと間違うという、他の品種の白ワインを勧めてくれた。2007年、Welschriesling (ウエルチュリースリング?)という品種で Sudsteier Mark(南ステイル地区?)とラベルにあった。確かにグリューナー・フェルトナーと似た香りがする。クリーンで、フレッシュ。アップルサイダーを使ったドレッシングのサラダの酸味ともよくマッチ、煮込料理の脂肪もカットしてくれる。
カリフォルニアから来たと告げると、ウエイター氏が「シュワルツネガー知事の州ですね。彼はここから10キロ程はなれた土地の出身なんですよ」という。
11時を過ぎている。お客は私たちと喫煙席にもう1カップルのみ。でも急いでほしいという素振りも見せない。ヨーロッパのしきたりで、「会計をお願いします」というまで、請求書を持ってこない。
10時まで明るい北ヨーロッパ。11時を過ぎて、辺りは暗くなっていた。雨で塗れた石畳の歩道。明朝、オーストリアを通過してハンガリーへ入る。
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