2008年6月28日土曜日
ブダペストでの数日
相棒がロンドンでテイスティングの仕事をしている数日間、娘と二人でブダペストで気ままに数日間を過ごした。チェコともオーストリアともドイツとも違う、華やかで華麗なマジャール王国が残した文化。私たちはすっかり気に入った。ソ連が戦車を持ち込んだ痕跡はすっかり消えている。
私たちの1日はホテルの朝食で始まる。ニシキライス(カリフォルニアに錦米というのがある。もしかしたらカリフォルニア米?)に味噌汁があった。でもこれはカリフォルニアでは全く珍しくないのでパス。私はヨーグルト、チーズにハム、ぱりぱりで甘みさえ感じさせる緑、黄色、白、緑、赤の生のピーマンの薄切りを毎朝食べた。もっともだんだん同じ朝食で飽きてはきたけれど。
それからおもむろに町へ出る。ホテルがオペラハウスのすぐ隣なので、外へ出ると、練習をしている歌声が聞こえてくる。
お気に入りのカフェ、Mirveszへいって、まずはカプチーノ。こんもり茂った道路沿いの木々が歩道にあるテーブルと椅子に程よい木陰を作っている。ある朝、ジプシーの女性が一人よろよろと歩いていて、ズボンが脱げそうになった。そのときにポケットからコインがこぼれ落ちた。あらあらと思って眺めていたら、そのコインを手にとって、何やら言いながらを私に差し出した。「えっ、私にくれるの?まさか」と思った瞬間、二人のウエイトレスがさっとやってきて、両手をジプシーのほうにかざしてストップのジェスチャーをしながら静かにでも毅然として何かを言っている。多分、警察を呼ぶわよって言ってるのだなと思った。そのウエイトレスの二人はモデルのように美しいのだ。ここのカフェは美人しか雇わないのだとみた。100年の歴史をもつカフェ。次に勇んでやってきたのも、多分、マネージャーなのだろうけれど、またしても美人の女性。ガードマンというような男性はいなかった。ジプシーの女性はあきらめた様子で立ち去った。3人のウエイトレスがそろって、美しい顔を曇らせて「アイムソーリー」。美人ウエイトレスたちは優雅に毅然としてジプシー女性を立ち去らせたのだった。
ブダペストの夏は暑い。日中は40度Cにも上がった。湿度は35%だったから、少し蒸し暑いという感じで、木陰に入ると涼しい。地下鉄で数駅ほど行ったところにとても大きな公園があって、役所、大使館、城、美術館、博物館が並んでいる。あまり暑いので、冷房が効いた美術館へ行くことにした。現代美術を楽しむ。公園の池の上の立つレストランでランチ。グラスで白ワインを注文したら、「どこから来たの?」とウエイトレス氏が聞くので、カリフォルニアと答えたら、「ケンダル・ジャクソンのシャルドネがあります」というからあわてて、「地元の白ワインが飲みたい」といったら、「冗談です」。ハンガリー産のピノ・グリを飲んだ。フルーツ味は、まあ、まあ、でも酸がしっかりしている。暑い日のランチにはぴったり。チェコのワインと比べるとハンガリーのワインのほうが総体的に質がいいようだ。
エアコンが付いていない地下鉄は蒸し暑くて不快。木陰のサイドを歩くほうが涼しいので、地下鉄に乗るのをやめてホテルまで歩いて帰った。
夕方、食べて、飲んで、だべる、若者たちがあふれているカフェ、レストランが立ち並ぶ通りで、軽く食事をした。暑いので私はロゼ、娘はビール。ハンガリー(チェコでも同じ味だった)のスープであるグーラッシュ、子牛シチューにあきて、サラダしか食べたくない。
ハンガリーのアイスコーヒーは日本のクリームパフェみたいだった。細長いグラスにコーヒーが少し、あとはアイスクリームと生クリームがこんもり。ほんのりと甘い。蒸し暑くてだれているときに、ほんのりと甘いこのコーヒーがエネルギーを与えてくれることを知った。
ふとストリートの角を見ると、朝に見たジプシー女性が働いて(?)いる。避けずにまじめに彼女の話を聞いているカップルもいる。お金をあげたのかどうかはわからないけれど。グループで働くジプシーは一度も見かけなかった。もうこの国にはいないのかも。私が見たのは二人だけ。サンフランシスコよりホームレスは少ない。
どんな小さな村でも、荘厳な建物が立ち並ぶ歴史豊かな古都でも、近代都市でも、そこに暮らす人々の食べて、寝て、働いてという暮らしの根っこは変わらない。それぞれに不満や希望を抱いて生きていく。ソノマを離れて、言葉も習慣も違う、さまざまなヨーロッパの国の人々をみて、当たり前のことを再確認。
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