2008年7月24日木曜日

北海道の男


今、江別の実家に娘と帰郷している。タイの旅の後、娘と成田で落ち合って東京に2泊後、北海道に帰ってきた。1年ぶりの札幌で、親友とお茶を飲んだ。タイと東京の蒸し暑さにしごかれてきた身には、札幌の夕方の涼しい空気がありがたい。丑の日だそうで、母がうな丼を作って待っていてくれるので、5時の汽車で江別へ戻った。
ラッシュアワーに入る時間帯なので、江別ー札幌間の快速はなくて、普通列車に乗った。それでも20分ほどだから、あまり苦にならない。運よく座ることができた。発車間際に、小型のスーツケースを持った親子3人が乗ってきた。私の後ろの窓側の席がひとつあいていたらしい。30代中ごろの父親が5歳くらいの男の子に「席が空いてるから座らせていただきなさい。ありがとうございます」といっているのが聞こえた。礼儀正しいお父さんだなあ、息子はいい大人に成長するだろうなあ、なんてぼんやりと考えていた。窓際の席に座らせたのは70歳ほどの老人で、この父親にいろいろと話しかける。この男性は懐かしい北海道弁で、いやがらずに適切に会話に応じている。いつもだとむすっとしたサラリーマンたちや携帯をぱちぱちしてる若い人たちで、話し声はほとんどない、なんとなく通勤に疲れたという人たちがほとんどなのに、まるで昔のローカル線に乗ったみたいに会話があったかいのだ。へー、今でもこんなにお年寄りに優しく応対する男性がいるんだなあ、それにこの北海道弁、なくなった弟みたい、いい声だわなんて、またぼんやりと考えていた。
老人がいやみなくこの家族のことを聞きだしていく。大麻出身だけれど、今は山形に住んでいるということ、そしてこの日の午後に彼の祖母が危篤だという連絡を受けて、大急ぎで山形空港へ車を2時間すっ飛ばして運よく航空券が手に入って千歳へ飛んで、千歳から札幌までの汽車にすぐ乗ることができた。今、札幌で乗換えをしてこれから祖母が入院している岩見沢の私立病院まで行くのだということを話した。
急いでいるのに普通車に乗ってしまって、何で特急に乗らなかったかと悔いる男性に、老人は「特急はこの汽車の5分前に出てしまったもんな、でもここまでうまくこれたんだから。岩見沢に着いたら、私立病院まではタクシーで1区間、10分か15分でいけるから」と慰めると、ありがとうございますと答える。
内心は祖母の死に目に会えるだろうか、間に合うだろうかと、はらはらしているだろうに、なんと優しい男性なのだろう。
山形という土地は、人々が優しい会話を交わす土地なのだろうか。
どうか彼が祖母に会えますように!かっこいい真の北海道の男を久しぶりに目にした。、

1 件のコメント:

tomakomai さんのコメント...

同じ同郷です。札幌白石と苫小牧に家があります。オークランド35年在住です。真奈美さんのメールでカフマンさんと会ったばかりとありました。私も旅行者をナパに連れて行く仕事が多いです。私のお気に入りのワインはスポットウッドとFreemark Abbeyのbotshi? overture ,
sapporoでワインをおいしく飲めるバーもしくは愛好会など知ってましたら教えてください。